2016年04月16日
【生命力の消耗を最小限にする環境を見直して】
4月のとても心地良い春の季節となりました。新年度がスタートし、今年もフレッシュな気持ちで新入生を迎えました。4月は多くの人たちにとって生活環境が大きく変化する時です。
私は前任校の大阪から関西福祉大学に赴任して2年が過ぎようとしていますが、赤穂は気候も穏やかで、山も川も海も温泉もあって瀬戸内の風景も良く(桜の季節は特に)、また“赤穂の塩”をはじめ、牡蠣やみかんなどなど特産物にも恵まれて、とても住みやすい環境だなぁと季節を通して感じています。
私は看護学部の中で、看護技術という科目を主に担当しています。1年生が入学して最初に学ぶ看護の専門科目の1つですが、その初回の講義・演習の内容は、“生活環境を整える”です。
現代の看護の礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールの代表的な著書『看護覚え書』の中で、「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを適切に整え、これらを活かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えること−こういったことのすべてを、患者の生命力の消耗を最小限にするように整えること」(1859年)と記された部分があります。
この覚え書が発表されてからすでに150年ほどが経ち、社会も医療もその頃とは大きく変化していますが、どのような健康の段階にある人にとっても人が健康に生活するために整えるべき環境は普遍であり、たとえ時代が変わっても“他者に対して援助すること(看護)の原理”は変わらないものとして、それは教え継がれています。
長年、そのように看護を学生に伝えてきた私にとって、赤穂の風土は、健康を意識して生活するのに理想的な環境に感じられます。赤穂にお住まいの皆さまはもちろん、赤穂で新生活をスタートさせる方々にも、あらためて新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさ、食べ物(豊かな自然の恵み)を身近に実感して味わいながら、ときにヒトの健康を守る(生活環境を整える)意味について見直してみることは、ご自身の健康を守る上でも大切に思います。(前川泰子・看護学部准教授)
[ かしこい子育て ]
掲載紙面(PDF):
2016年4月16日(2181号)4面 (10,359,763byte)
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