2016年08月27日
機転で詐欺被害を未然に防いだミサキタクシー乗務員の田邊泰英さん
タクシー乗務員による乗客への声掛けで特殊詐欺被害を未然に防ぎ、容疑者検挙にもつながったとして、警察が殊勲の乗務員へ感謝状贈呈を検討している。
被害を防いだのはミサキタクシーの田邊泰英さん(62)=相生市坪根=。
赤穂署によると、今月19日午前10時ごろ、赤穂市内の80代夫婦宅に「警察官」を名乗る男から「犯人があなた名義の通帳を持っていた。あなたの預金口座が危ない。銀行の者から電話をさせる」などと電話があり、その約20分後に「銀行員」をかたる男が「安全な口座を準備したので、預金を移し替える必要がある」などと電話してきたという。
夫婦は預金口座のある郵便局へ向かおうとタクシーを呼び、そこに配車されたのが田邊さんだった。「11時半までに郵便局へ行ってほしい。そこで警察の人が待っている」と話す夫婦から事情を聞いた田邊さんは「警察に相談したほうがよい」と進言。郵便局へ急ごうとする夫婦を説得し、交番へ車を走らせた。
夫婦の相談を受けた同署は郵便局周辺に捜査員を緊急配備。銀行員風のスーツ姿でうろついていた男に任意同行を求め、容疑が固まったとして同日逮捕した。
田邊さんはタクシー乗務歴22年のベテラン。目的地が金融機関の場合は乗客に注意を呼び掛けるように日頃から心掛けているという。同社では全車両に特殊詐欺防止の啓発ちらしを備え付けており、「意識付けに役立っている」(田邊さん)と話す。
警察によると、夫婦は預金から380万円を引き出すつもりだったという。田邊さんは「大切なお金をだまし取られずに済んだのは良かったけれど、お客さんは心を痛めておられると思う。今度、乗っていただく機会があれば、ねぎらってあげたい」と思いやった。
詐欺未遂の疑いで逮捕されたのは、千葉県野田市の無職、新藤大介容疑者(24)。同容疑者が所持していた携帯電話の地図アプリに被害者宅を検索した履歴が残っていた。同容疑者は容疑を否認しているという。
[ 社会 ]
掲載紙面(PDF):
2016年8月27日(2197号)1面 (11,108,811byte)
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