2016年12月10日
清らかな音色が響く小堀遠州考案の水琴窟と再現した長棟州彦さん
江戸初期の大名茶人、小堀遠州(1579−1647)が考案した水琴窟を塩屋の造園業、長棟州彦さん(69)が図面を基に再現。御崎の桃井ミュージアムの入口横に設置した。遠州が生み出した音色が400年以上の時を経て現代によみがえった。
小堀遠州は備中松山藩主から近江小室藩主を経て幕府の作事奉行を務めた。古田織部に学んで遠州流茶道の祖となり、将軍や大名に茶道を指南。造園や作庭にも才を発揮した。
水琴窟は茶室そばの手水鉢に併設されることが多く、遠州流宗家には遠州が水琴窟の源流となる仕組み「洞水門」を考案したとの記録が残る。水琴窟研究家でもある長棟さんは宗家が作成した見取り図を基に洞水門を再現した。
大きな丸甕の中腹に左右2つの穴を開け、それぞれに小さなつぼを管でつないだ構造。全体を地中に埋設し、甕に落ちた水滴が内部で反響する音を楽しむ。これまで数多くの水琴窟を設計、施工した長棟さんは「これほど音の共鳴が明瞭な水琴窟は例がない。さすがは遠州」とすぐれた設計に感心した。
長棟さんは洞水門のそばに手水鉢と石灯籠を配した。いずれも赤穂藩主・浅野長矩の正室瑶泉院が暮らした三次浅野家江戸屋敷にかつてあったものだという。
長棟さんは「江戸時代の水琴窟が奏でる清らかな音色とともに内匠頭、瑶泉院、そして忠義を尽くした四十七士を偲んでもらえれば」と話している。
同ミュージアムの開館時間は午前10時〜午後4時。火曜休館。Tel56・9933。
[ 文化・歴史 ]
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2016年12月10日(2210号)1面 (13,783,949byte)
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