2017年06月10日
小学生を対象に学習支援活動をスタートした福田豊彦さん
経済的な理由などで子どもを学習塾に通わせることが困難な世帯の小学生を対象にボランティアで学習支援する活動を東有年の元教諭、福田豊彦さん(60)が始めた。福田さんは「意欲があるにもかかわらず、家庭の事情で勉強をあきらめている子どもたちに学習の場を提供したい」と話している。
磯浜町にあるワンルームアパートの一室。8畳ほどの広さの部屋に長机と椅子3脚があり、壁にはホワイトボードが掛かっている。この3月に坂越中学校を退職するまで市内公立小・中学校で35年間教壇に立った福田さんが立ち上げた児童学習支援団体「ラスティー」の教室だ。
「格差社会」といわれる中、児童や生徒本人の努力よりも保護者が子どもにかける教育費や期待度の大きさが学力を左右しやすいとの調査結果がある。福田さんも中学教諭時代、生徒が勉強に苦手意識を持った背景に「家庭環境」が要因の一つとなっていると感じたことが少なくない。
小学校で習う基本的な「読み、書き、計算」を十分に修得できていないために授業についていけずに学習意欲を失い、学校生活を楽しめないまま卒業していった生徒も見てきた。クラス単位の授業を基本とする学校の枠組みでは個別対応は限界があった。ラスティーの活動は「子どもを救済できなかった」という教諭時代の悔しさが原点にある。
5月から活動を始め、中学年クラスと高学年クラスを週2日ずつ開いている。午後4時半から休憩を含めて約2時間、学校で出された宿題指導を主に国語と算数を教える。1クラスの定員は3人。子どものペースに合わせて、ゆっくり時間をかける。子どもが「わかった!」と顔を上げたときの表情を見るのが何よりの喜びだ。
教室に使っている部屋は、アパートを経営しているかつての教え子が「応援するわ」と当面無償で貸してくれた。そのため、生徒から受け取る授業料は教材費の年間5000円に抑えることができた。
教室を開いて1カ月で口コミだけで定員が埋まった。さらに多くの児童を受け入れたいと、指導者として協力してくれるボランティアを探しているが今のところ見つかっていない。「学校とはまた違った『教師冥利』を感じられる。その醍醐味を伝えれば、協力してくれる人が現れるのでは」と前向きに考えている。
「知らなかったことがわかったり、出来なかったことが出来るようになったりするのは誰だってうれしい。『勉強が嫌いな子ども』なんていないんです」と福田さん。「どの子も持っている『学びたい』という意欲を大切にしたい」と話している。
使わずに余ったノート、鉛筆など文房具の寄付も歓迎。問い合わせはTel090・3167・6891(水、土、日曜を除く午前10時〜午後6時)。
掲載紙面(PDF):
2017年6月10日(2234号)1面 (5,901,153byte)
コメント
ありがとうございます。頑張ります。
投稿:福田豊彦 2017年06月11日
鉄は熱いうちに打て、早め、早めの対応が肝心。子供たちをいい方向に導いてください。昔、テレビで寺で1000円塾しているのをみました。いい試みだなと思いました。赤穂もそうゆうのを支援したらと思います。授業についていけない子をなくそう。赤穂も寺が多いので、勉強の場として開放すればいいと思います。後、精神性を教える等。
頑張ってください。
投稿:基礎学力 2017年06月10日
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