2017年07月22日
小児科に受診するお子さんを見ていると、病院には行きたくないという声が多いように見受けます。診察、検査、処置など子どもが嫌がる行為が多いのですから仕方がないかもしれません。
そのような子どもたちに、少しでも頑張ろうという気持ちを引き出す看護として、「プレパレーション」というものがあります。直訳すると「準備すること」「心構え」となります。プレパレーションという言葉が日本の看護に定着し始めたのは、20年ほど前になります。
子どもの心は年齢や経験を重ねて成長していきますが、自分が知らないことに対しては、恐怖心から実際以上の痛みを感じることもあります。たとえば、聴診器を身体にあてる行為はほとんど痛みがありません。それにもかかわらず小さな子どもは泣きだします。腕に空気の圧がかかる血圧測定や、しばらくじっとしているレントゲン撮影なども、子どもにとっては何が起こっているのか理解できずパニックになることもあります。
プレパレーションは、子どもなりの心の準備を促し、嫌だけれど頑張ってみようという気持ちを引き出すものです。
まず、これから何をするのかを理解してもらいます。うそは厳禁です。恐怖心をあおらないように丁寧に説明します。絵や写真、模型を使うこともあります。注射などは、子どもの「ちょっと待って」という要望も聞きながら、自分のタイミングで頑張れるようにかかわります。看護師が動かないよう固定する時、「動かないように守ってあげるね」等の説明をすると「押さえつけられた」と受け取らず、子どもは安心します。
年齢が小さい子どもは、病院での検査や処置が自分にとっての罰だと誤解するケースもあります。処置室に入ったとたん「ごめんなさい、言うこと聞くから」と泣いている子どもがいます。痛い目にあわされるのは、自分が悪い子だからだと思っているのかもしれません。そんなときは、病気を見つけて治すためだと説明して誤解を解くことから始めます。
プレパレーションによって痛みや嫌な気持ちが完全になくなるわけではありません。泣いたり、「嫌だ」と言ってもよいのです。それでも頑張ったことをほめてもらうと、子どもは自分を誇らしく思えます。(竹村淳子・看護学部教授)
[ かしこい子育て ]
掲載紙面(PDF):
2017年7月22日(2239号)3面 (11,184,901byte)
コメント
※コメントは投稿内容を赤穂民報社において確認の上、表示します。投稿ルールを遵守できる方のみご投稿ください。