2017年09月02日
『あかいほっぺた』 ○作/ヤン・デ・キンデル ○訳/野坂悦子 ○光村教育図書
タイトルからどんな絵本を想像されるでしょうか?
「“いじめ”は、携帯電話の普及に関係がある」と、長く生徒指導に関わってきた教師から聞いたことがあります。
子どもたちの間では、友人からのメールにすぐに返信メールを返さなければ、そこからいろいろなトラブルが生まれてくる、と言われています。
この話が本当だとしたら大変なことです。
私は、ずっと以前から、なぜ“いじめ”が生まれてくるのか、心を痛めています。
絵本の帯にこんな言葉がつづられています。
「トムが いじめられている。わたしは なんにも いえない。でも−」
(まだ続きます。あとは絵本でぜひ…)
これは、いじめに遭っている“トム”をなんとかしなければと悩み、苦しんでいる一人の少女の物語です。
赤いほっぺたのトムがなぜいじめられるのでしょうか…。
“トム”は、何もしていないのです。
同級生の多くの友だちは、トムをいじめてはいけない、と思っているのですが、そのことを口に出す勇気がありません。
このことは、大人社会も同じではありませんか。そんな思いを強くした絵本です。
ベルギー生まれの著者に感謝します。
* * *
『あかいほっぺた』○作/ヤン・デ・キンデル○訳/野坂悦子○光村教育図書
[ 絵本で世界を旅しよう ]
掲載紙面(PDF):
2017年9月2日(2244号)3面 (16,703,268byte)
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