2017年10月21日
千種川水系の梨ヶ原川、安室川源流にあたる西有年の山林で民間業者が進めようとしている管理型産業廃棄物最終処分場建設計画をめぐり、安室川と千種川流域にあたる山野里、上郡、高田の3つの地区連合自治会は12日、「計画反対」を宣言する「上申書」を西播磨県民局長と上郡町長、同町議会議長宛てに提出した。
一方、梨ヶ原川が流れる船坂地区連合自治会は先月28日、「計画の早期実現」を望む「上申書」を提出。そこへ船坂地区内の複数の単位自治会から「事実誤認がある」などと異議を申し立てる文書が出された。議会は16日、これらの上申書の対応を協議する全員協議会を非公開で開催。民意集約への道筋は混沌としている。
山野里、上郡、高田の3地区が提出した上申書は、遮水シートの破損や自然災害などで処分場から汚染物質が流出する危険性を指摘。汚染によって飲料水や農業用水などに被害が出た場合、「地域住民は疲弊し、過疎化の波が襲い、町は衰退しかねない」とし、「断固として、産業廃棄物最終処分場建設に反対することを宣言する」としている。
関係自治会の役員によると、山野里、上郡の2地区は各世帯から署名を集めた上で単位自治会役員の連名で上申書を作成。高田地区は役員会で多数決をとり、連合会長名での提出を合意したという。
一方、「計画の早期実現」を要望する上申書は船坂地区連合自治会長と梨ヶ原自治会長を兼任する副会長の連名。処分場の設置と運営に「同意承諾する」と表明し、「長年の懸案事項である優良企業の誘致を図ることにより地域の活性化や繁栄に繋げてまいりたい」「総意として上申致します」などとしている。また、西有年地番である処分場建設予定地について、「梨ヶ原自治会に所属」とした上で、「紛争防止条例の規定における『関係住民』とは、正に梨ヶ原自治会所属の住民のことであり、これについて異議を唱えるものはいない」と主張している。
この上申書に関して、船坂連合自治会を構成する15の単位自治会のうち6自治会長が連名で「明らかな事実誤認がある」として、上申書の却下を求める文書を12日に同町長などに提出した。文書によれば、「(産廃処分場の設置と運営について)船坂連合自治会長会で同意承諾を論議したことはない」といい、「関係住民は梨ヶ原自治会」とする解釈についても、「論議したことやそれを認めた事実はない」と否定している。
6自治会の役員の一人によると、船坂連合自治会長らが提出した上申書は「正副会長以外に見た人はいないようだ」といい、会長に交付を求めたところ断られたという。会長の男性は17日、赤穂民報の取材に対し、「これまでの協議の経緯を知らせるように町から言われたため、『上申書』として報告した」と説明した。しかし、本紙が同町に確認したところ、「こちらから提出を求めることはありえない」(住民課)、「町側から提出を求めたことはない」(議会事務局)と否定。同連合自治会は21日に自治会長会を開く予定で、会長は「詳しいことは21日の会合で説明する」と話した。
同町議会は16日、全員協議会で上申書の取り扱いについて非公開で協議した。議会事務局によると、全員協議会の取材や傍聴は「議長の許可を必要とする申し合わせがある」といい、「今回は内容に個人情報を含むため、議長が非公開と判断した」という。
上郡町には上郡、山野里、高田、高田台、鞍居、赤松、船坂の7つの地区連合自治会があり、梨ヶ原川の直下にあたる梨ヶ原自治会は船坂地区に属する。関係者によると、高田台地区と鞍居地区でも現在「計画反対」の署名活動が行われており、町議会への請願も視野に入れている。
[ 社会 ]
掲載紙面(PDF):
2017年10月21日(2250号)1面 (10,869,887byte)
コメント
なぜ、山頂に産廃処分場を作るのか。雨水は、高いところから低いところに向かって流れる。自然の摂理です。業者は、必ず「放流水は、処理をして安全な水にして流す。」と言います。処理をしなければならないような水が、処分場施設から出ることを業者自身が認めている。また、業者は、西有年住民宛に、文書で「・・・上郡町や赤穂市の運営する最終処分場が既に稼働しており、水処理施設で浄化された後の水が河川に放流されています。今回計画している最終処分場とこれらの処分場は、同じような構造をもつ最終処分場となります。」
これは、巧妙且つ狡猾(ずるい)説明です。自治体が運営する生活ゴミの最終処分場と業者が営利を目的とする最終処分場は、「似て非なるもの」です。
だまされてはいけません。船坂自治会の一部役員さんたちは、何を業者から聞かされているのか知りませんが、住民の利益をしっかり守る立場で役職を果たして頂きたい。また、上郡町議の中に、業者の意向を受けて行動している方がいる。赤穂市の産廃に対する立場にも、町議会で異を唱える発議をしている。赤穂市民としていかがなものかと怒りすら覚える。
いずれにしても、赤穂市民としては「千種川は、命の水」であり、市民全員で
この産廃事業を阻止する行動に立ち上がりましょう。
投稿:安全な産廃最終処分場などない 2017年11月05日
赤字覚悟でも、市民の税金で予定地を買い上げるなり、もうちょっと安全な場所に代替地を用意するなどの話は出てないのでしょうか?
投稿:住みよい街は、すべてウソに 2017年10月30日
小規模の方々の 不穏な動きってなんぞや!
その辺りが明らかに不明なのに、反対する側も変に筋を通してハッキリせんから、この話は余計に気持ち悪い。
大多数の国民・市民が嫌がる事を、わずかな人の権利や秘密が守られ尊重されるのは、民主主義ではない。
地権者、業者も法にのっとってあえて進める行為なら、正々堂々と立場を名乗り、その理由を包み隠さず述べるべき。
筋が通り同情の余地もある理由なら、産廃業者に売り飛ばす以外にも、他に手立ても考える方策も現れようなもの。産廃ありきの筋書きでの結託話なら、断固として許すことは出来ない。
と、本音で思う市民が殆どだと思いますが・・・・
投稿:何が起こっているのかさっぱり訳がわからない 2017年10月30日
あえて御名前は書きませんが、ごく小規模の方々の 不穏な動きが有る事は 多くの方々の知る所であります。
後々の遺恨が残らぬ事を 願います。
投稿:非公表 2017年10月30日
今、騒ぎになっているこの程の台風21号による奈良県三郷町での揉め事を見て一言。
近鉄の営利優先、自社保身の運転最優先は、大企業の一般的姿勢で、開発業者の典型的な姿を見たような気がします。
崖上の被災住宅には、今日になって町が危険だから住まないようにと赤紙一枚だけ渡し、何が起こっても個人の責任で、あとはシランと言い放ったらしいです。
ならば、災害1日後に、そんな危険な崖下をサッサと乗客を乗せて運行を再開した近鉄には、町や県はどう言ったの?と聞きたくなりますね。
だれが見ても明らかに、近鉄敷地内の土砂流出が引き金で、崖上が巻き込まれて起きている災害です。
町も大企業も、弱い立場の個人・一般市民には、その時が来たら、こんな態度が罷り通るのが今の日本の状況です。
赤穂の人達もよく判った上で事を進めないと、その時が来たら泣き寝入るのは千種川下流市民です。
計画区域で賛成する人達がどういった事情で賛同出来てしまうのか図り知れませんが、仮に自分の私欲や都合だけで動いているとしたら、この災害のような事故が起きてしまった時、千種川の恩恵に育んで生活してきた多くの赤穂人々や自然、歴史に与える損害はとてつもなく大きい事を自覚しておいて欲しいものです。
投稿:近鉄の災害時の対応に重ねて見えるもの 2017年10月27日
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