2019年01月26日
そのうち、河原に落ちている枯れ木や枝を集めてきて、その石の周りに柱を組み立て始めたのです。さらにその上に葦や枯れ草を載せ、掘っ立て小屋を作り上げました。それはみすぼらしいもので、雨や風がやっと、しのげるだけのひどい小屋でした。
お坊さんは、その掘っ立て小屋の出来栄えに満足し、さっそく石工の家を訪ね、事情を話し、槌とたがねを借り受けました。
お坊さんは、その日から毎日、その石を削り始めたのです。小屋の中から、コツコツという石を削る音が毎日、聞こえていました。朝と夕には、近在の農家を回り、托鉢をして、少しの食べ物をもらい、あとは、その小屋に戻り石を削っていました。明るいうちは、石を削り、暗くなるとその小屋で寝るということを始めたのです。(作・切り絵=村杉創夢)
[ 赤穂の昔話 ]
掲載紙面(PDF):
2019年1月26日号(2311号)4面 (12,271,362byte)
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