2019年02月15日
ある日、野ウサギが入口のところから、お坊さんをじっと眺めていました。お坊さんは、そのウサギに気がついたので、「こっちにおいで」と、手招きをし、自分のそばに座らせると、こんなお話をし始めたのです。
「私は、この河原を歩いているときにな。この石が苦しそうにしているのに気がついたんじゃ。そこで、丸一日、その声を聴いていた。そうして、わかったのだ。この石の中には、仏様がいらっしゃる。仏様は、外に出ることを希望されている。私は、そのお手伝いをして差し上げなくてはいけないことに、気がついたのじゃ。それから、毎日、少しずつ石を削っていくことを始めたのじゃ」
ウサギは、わかったのかどうか、じっとお坊さんの顔を見つめていました。(作・切り絵=村杉創夢)
[ 赤穂の昔話 ]
掲載紙面(PDF):
2019年2月16日号(2314号)4面 (12,136,727byte)
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