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赤穂の昔話・第11話「コクスケ大明神」(上)

2020年02月08日

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 昔、赤穂にお城ができるまで、付近は雑草が生い茂る浜辺で、そこにはたくさんの狐の家族が住んでいました。
 狐たちは、食べ物に恵まれ、誰にも邪魔されず、楽しく、仲よく暮らしておりました。
 ところが、ある日、見慣れぬ人間様が突然大勢やって来ました。
 何事がおこるのかと、狐たちは草のかげから皆不安げに見ていました。
 杭を打つ者、縄を引っ張る者、石を積む者、そして沖には大きな石を積んだ船が来ているのです。
 狐たちは、何が何やらわからず、右往左往するばかりです。どうやら赤穂の城造りが始まったようです。
 狐たちにとっては一大事です。もう自分たちの住むところがなくなるのです。
 ボスのコクスケは、だまっておりません。皆を集めました。
 「皆、こんなひどいことはないぞ。われわれの住家が壊されてしまうのだ。人間は勝手なことをする。これでは家族は離ればなれになり、年寄りは死ぬしかない。だまっておれん」
 どこかへ住家を早く変えようと、泣き叫ぶ老狐もいました。ですが、急にあるものでもありません。なんとか工事を中止してもらおうと、いろいろ意見が出ました。
 最後にコクスケが、「われわれのことを、少しも考えてくれない人間どもを追い出すために、この工事を皆で妨害しよう」と言いました。
 コクスケの決断に狐の集団は立ち上がり、築いた堤を壊したり、工事用の飲料水の水がめに汚水を入れたり、病人をつくったり、あらゆる妨害を3年余りも続けました。
 赤穂城の工事は遅れに遅れ、大変な出費となりました。(つづく)=切り絵・村杉創夢


赤穂の昔話 ]

掲載紙面(PDF):

2020年2月8日号(2359号)2面 (8,140,633byte)


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