2008年02月02日
市財政再建の中期的な道筋を示す第6次行政改革大綱の素案に家庭ゴミ処理の一部有料化が含まれている。平成22年度からゴミ袋を市指定のものに限定し、年間3500万円の歳入増を見込むものだ。
「ざくっとした数字。決定したわけでもなく、一人歩きしては困る」と慎重な口ぶりの市担当者に金額の根拠を取材すると、すでに有料化しているお隣の上郡町の「45リットル袋35円、20リットル袋20円」を赤穂市の世帯数にあてはめて算出した、とのことだった。
なぜ、上郡町と同じ価格設定としたのか―と質問したが、本紙が納得できる明確な回答はなかった。また、取材の過程で、市のゴミ処理費用が年間いくらかかっているのかすら調べていないことがわかった。
市は素案の作成について、「各部局から提出された『見直し調書』をとりまとめた」と言うが、ゴミ処理を受け持つ美化センターは「ゴミ有料化はこちらから提案したものではない」という。市の年間ゴミ処理費すら現場に聞いていないぐらいだから、「ざくっとした数字」なのも当然だ。
市は、「厳しい財政状況を改善するには、事務事業の見直し、職員給与、市民負担に切り込まざるをえない」という。しかし、その一方で、▽公共事業の見直し▽第3セクターの見直し▽企業誘致の促進―などは実施計画の項目に挙げられているものの、「効果額」は空欄。成果が挙げにくい分野はお手上げで、取りやすいところから取る、切りやすいところから切る、という市の本音がまる見えだ。
「有料化」と言われると、あたかも「無料」だったかのように聞こえるが、これまでも私たちの払った税金でゴミ処理は行われてきた。それ以上に費用を負担させるというのは実質的な増税、あるいは“税の二重取り”にほかならない。
市の財政が苦しいのはわかるが、市民に痛みを求めようとするなら、理由や数字の根拠を示すのが“礼儀”だろう。いくら「素案」といえ、「ざくっと」した数字だけを押し付けるのは市民に対して無礼である。
[ 社説 ]
掲載紙面(PDF):
2008年2月2日(1777号)1面 (8,472,232byte)
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