2020年04月04日
念願の英会話教室を開いた小林章子さん
50歳を過ぎてから公民館講座やCDで英語を学んだ70代女性が、海外留学研修などを経て4月から英会話教室を開く。女性は高校時代、家庭の経済的事情で進学できず、子どものころからの夢だった教師になることをあきらめた経緯があり、ついに願いを叶えた。
真殿の小林章子(あきこ)さん(71)は神戸市生まれで6人きょうだいの長女。高校を卒業すると、弟たちの学費をまかなうために自分の夢は捨て、事務員として就職した。結婚して赤穂に嫁ぎ、子ども2人を育てた。幸せな暮らしの中、18年前に夫が他界。ショックで体調を崩して入院した。
心が沈み込んでいた中、当時通勤していた相生市内で英会話の公民館講座があることを知った。元々英語の授業が好きだったこともあり、「何かに取り組んで哀しみから逃れたい」という気持ちで入門したが、参加者同士のコミュニケーションや新たな学びが楽しかった。会社の行き帰りの間、英会話教材のCDを聴くことを10年間続けた。
もっと英語を学びたいという気持ちは一層強まり、定年後に勤めていたパート事務の仕事をやめて2018年2月から豪州・ブリスベンの語学学校に1か月留学。さらに、5月からは英・ロンドンにホームステイし、語学学校へ3か月通った。修了後は「武者修行」としてヨーロッパを1か月間一人旅。自分の英語力がどれだけ通用するか確かめて自信を深めた。
「身につけた英語を何かに活かしたい」と考えたとき、「学校の先生になりたい」という子どものころの夢がよみがえった。一念発起して昨年7月に大手英会話スクール・ECCジュニアのホームティーチャー研修に申し込み、月2回、神戸に通って受講した。周りは元中学教諭や英語指導歴のある人など経験豊富な受講生がほとんどで「自分には無理かも」と自信を失いかけたこともあったが、「できるようになるまで何回でも繰り返し頑張ったらいい」と言い聞かせ、今年2月、晴れて修了した。
自宅の庭にあるログハウス調の倉庫を教室にリフォーム。幼児から大人まで対象に5つのクラスを設ける。目指す方向性は「安心して学べる英語塾」。今のところ、生徒は水曜夕方の中学生クラス1人だけだが、「単に英語を教えるだけでなく、自分の考えをしっかり伝えられるように育みたい。大人のクラスは茶話会のように楽しくできれば」と思いを語る。
「健康でいられて、やりたいと思ったことをやれるのがうれしい」と話す小林さん。自身の性格を「有言実行タイプ」とし、留学のことも、英会話教室を開くことも、周囲に目標を公言してチャレンジを実現してきたという。「周りの人があたたかい目で見てくれて、応援してくれたおかげで頑張れた」と感謝。昨年2級を取得した英検で準1級に合格することを次の目標に置いている。問い合わせはTel48・0054。
[ 街ネタ ]
掲載紙面(PDF):
2020年4月4日号(2366号)1面 (7,259,384byte)
コメント
※コメントは投稿内容を赤穂民報社において確認の上、表示します。投稿ルールを遵守できる方のみご投稿ください。