2020年09月05日
1970年代に家庭用ゲーム機が登場し、人気を博するにつれ市場が拡大すると、ゲーム機本体を販売する企業とは別に、ゲームのプログラムを専門に開発するゲーム制作会社が次々に誕生し、一大ゲーム産業が確立しました。
その後、マイクロプロセッサを始めとするハードウェアの性能が向上するのに伴い、ゲームのインタラクティブな(双方向性の)機能が飛躍的に高まり、1997年にはコンピューターがチェス世界チャンピオン、オセロ世界チャンピオンとの対戦で立て続けに勝利を収めるという快挙を果たし、以来、各ゲーム制作会社はコンピューターが得意とするエキスパートシステム(数多くのデータから推論し瞬時に問題解決する、特定の分野に特化したシステム)の開発に、しのぎを削ることとなりました。
現在のゲームアプリには特化型人工知能(Narrow AI)が搭載され、対戦相手のレベルを掌握してゲームをリードする能力が備わっており、人気のあるスマホゲームの場合、その多くが入口は無料でありながら、無課金プレイヤーはゲームで優位に立てないなど、様々な手段で射幸心を煽り課金を促す仕組みになっています。
ゲームが好きな子どもにとって、これはひじょうに悩ましい誘惑で、子ども同士で対戦する際は、お互いがライバルに勝つため、スマホに紐付いている保護者のクレジットカードで有料アイテムを繰り返し購入し戦い続けた結果、後日、高額の請求書が届いて保護者が驚くというケースが後を絶ちません。特に小児は金銭感覚に疎く、欲しいアイテムを手に入れるためなら課金の画面を何度でもタップし続けます。
スマートホンはGPSで子どもの居場所を把握したり、いつでも連絡できるなどのメリットがある反面、学校の友だちとは、食事中や就寝中でもメールが届けばすぐに返信しないと立場が悪くなったり、SNSが気になって一日中画面にかじりつく等、子どもの健全な生活を損なう危険性もはらんでいます。
子どもにスマートホンを与える時は管理条件を付けましょう。料金を支払うのは保護者なのですから、ゲームの課金を厳しく制限する、食事中はスマホを触らない、夜何時以降は電源を切る、定期的に通信記録をチェックする、時々抜き打ちチェックもする、などの取り決めを前もってしておけば、ネットいじめの加害者や被害者になっていないか確認もできるし、うちはこういうルールなのでゴメンと、子どもが友だちに宣言することもできます。(教育学部教職支援室准教授・石原義行)
[ かしこい子育て ]
掲載紙面(PDF):
2020年9月5日号(2384号)4面 (10,309,333byte)
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