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【社説】民意拒否するだけの理由あったのか

2021年01月22日

 住民投票条例案を審議した上郡町議会の臨時議会を傍聴した。議会のルールに基づく手順を踏んで採決されたことは間違いないのだが、一連の審議の中で疑問に感じたことがいくつかある。

 まず、遠山寛町長が条例案に添付した意見書の内容だ。意見書には、「この投票結果は、法的に何ら拘束力を持つものではありません」「この住民投票は、住民の意思確認の他に法的に何ら意味をなすものではなく、この投票結果をもって、請求代表者が真に求めている、産業廃棄物最終処分場の建設阻止に結びつけることは現実的に不可能ではないかと思います」と記述されている。これらの意見を条例案に反対する理由に引用した議員もあった。

 住民団体が制定を求めた条例案は、目的について「町民の意思を確認し、もって民意を反映した選択をする」などとしている。つまり、住民団体が条例に期待しているのは「住民の意思確認」であり、「法的拘束力」や「産業廃棄物最終処分場の建設阻止に結びつけること」まで求めたわけではない。にもかかわらず、なぜわざわざそうした記述をしたのか疑問だ。

 遠山町長は、かねて赤穂民報の取材に「上郡は『反対』と『賛成』の両方があるから、町が先頭に立つのは難しい」と答えた。そして、今回の議会後の取材では「住民投票で大きな票が出たら、結果を持って知事にお願いに行くことはできた」とも述べた。「住民の意思確認」ができる住民投票は遠山町長にとって「町が先頭に立つ」ようになれる転機となるはずだが、なぜ意見書で「条例案に賛成」と表明しなかったのか。

 そもそも、住民投票は議会や首長の意思決定に住民の総意を反映させるための手段として効果的な役割を果たす。今回の条例案でも、「町民、町議会及び町長は住民投票の結果を尊重しなければならない」との条文が盛り込まれている。事業者や許可権者である県に対する「法的拘束力」がないことを理由に住民投票を「意味をなさない」とするのは見当違いであり、住民の政治への参画権を否定するものだ。

 なお、臨時議会の討論では、遠山町長の意見書以外にも条例案に反対する理由が複数の議員から述べられた。有権者の半数を超える署名に基づいて住民投票の実施を求めた「民意」を拒否できるだけの相当な理由はあったのか。町長及び条例案に反対した議員には、町民への説明責任が求められる。


社説 ]

関連サイト:

【関連記事】上郡町の住民投票条例案 町議会が否決

掲載紙面(PDF):

2021年1月23日号(2401号)2面 (4,876,994byte)


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コメント

久々?の社説、ありがとうございます。上は国政から下まで不正、不祥事、納得出来ないことが多く、民主主義の崩壊が進行していますが、民報さんの素晴らしい社説、報道姿勢、元気づけられました、ありがとうございました。

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投稿:てんゆう 2021年01月26日


町長、町議会は、産廃の可否やスタンスをしっかり示すべきでしょう。
町民投票をもとめた町民署名が語っている様に、町民の半数以上は反対と見受けられます。
法的拘束は無いが、町長、町議会は、真摯に受けとめるべきではないのでしょうか。

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投稿:スタンス 2021年01月22日


誰も責任取りたくないのよ。
責任感がないトップが多い。そういう風潮になっている。
なんとかせねば。

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投稿:責任取りたくない 2021年01月22日


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