2021年02月06日
アメリカの犯罪学者、ドナルド・クレッシーは、人が不正をはたらくには「動機」と「機会」が必要だと指摘している。
動機は「ローンの支払いにお金が必要」「社内での自身の処遇に不満がある」などが該当し、機会は「現金の出納を1人で担当している」「チェック体制がなく、不正を行っても気付かれない」といったケースが当てはまるという。
このほど発覚した赤穂市課長による収賄事件。捜査機関によれば、容疑の課長は借金返済に充てる金を得るために業者に賄賂を求めたとされる。係長を兼務して浄水施設関係の設計業務を一任される立場にあり、上司は書類の改ざんに気付けなかった。
クレッシーは「動機と機会があったとしても、それだけでは不正行為は行われない」としている。もう一つの要素の「正当化」が加わったときに不正が生まれるとし、「不正のトライアングル」と名付けた。
「今までは問題なかった」「これくらいみんなやっている」といった思考が正当化にあたる。容疑の課長はどのように「正当化」を図ったのか。
専門家によれば、「仕事ぶりや業績が正当に評価されない」「社員にとって納得できないことが多くある」といった職場で不正が起こりやすいそうだ。赤穂市はいかに。
[ コラム「陣太鼓」 ]
掲載紙面(PDF):
2021年2月6日号(2403号)1面 (10,926,494byte)
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