2021年05月01日
救急車を消毒するためのオゾンガス発生機(左)
赤穂市消防本部が救急車で急病人などを搬送する際、受け入れ医療機関がなかなか決まらないケースが増加傾向にあることが同本部への取材でわかった。
発熱や倦怠感といった症状がみられる患者の搬送先が見つかりにくい場合が多く、新型コロナウイルス感染症のまん延による医療のひっ迫が背景にあるとみられる。
消防本部の集計では、救急車が現場に到着してから搬送先が決定して出発するまでに30分以上を要した件数は2019年の78件から昨年は131件に急増し、今年は4月25日時点で54件。救急出場件数全体に対する割合をみても、▽2019年=2・9%▽2020年=5・2%▽2021年=6・8%で、今年は昨年の1・3倍のペースで推移している。
こうした事案のうち、発熱や倦怠感などを発症した患者の件数は集計がなく不明だが、同本部は「搬送する患者が発熱や倦怠感があったり、コロナ患者の濃厚接触者だったりした場合に、なかなか受入先が決まらないことが多い」(救急課)と明かす。同課によると、医療機関への受け入れ照会を2回行って搬送先が見つからなければ県の広域災害救急医療情報システム(EMIS)を活用して管外の受け入れ可能な医療機関を探すが、それでも搬送先が決まるまで1時間半を要したケースもあったという。
総務省消防庁が政令市と東京消防庁及び各都道府県の代表消防本部(計52本部)を対象に実施した調査では、「救急搬送困難事案」(救急隊による「医療機関への受入れ照会回数4回以上」かつ「現場滞在時間30分以上」の事案)は4月19日〜25日の1週間で1828件あり、そのうち3割を超える587件がコロナ疑い患者だった。
赤穂市消防本部では、発熱や倦怠感、息苦しさなどの症状がみられた患者を搬送した場合は、陽性者を搬送したときと同様にオゾンガス発生機で車内を消毒。1台を消毒するのに20〜25分程度かかるが、同本部に救急車は6台(赤穂消防署3台、上郡消防署3台)あり、「今のところ、救急搬送に支障や遅れはない」というが、「(新型コロナの感染拡大は)第3波までとは明らかに様子が違うと感じている。感染をこれ以上拡大させないために一人ひとりが責任ある行動をとってほしい」と呼び掛けている。
[ 社会 ]
掲載紙面(PDF):
2021年5月1日号(2415号)1面 (5,231,895byte)
コメント
※コメントは投稿内容を赤穂民報社において確認の上、表示します。投稿ルールを遵守できる方のみご投稿ください。