2021年08月28日
「人と猫が共生できるまち」を目指して活動を始めた「赤穂の野良猫を地域猫にする会」
TNR活動のイメージ図
里親を探している子猫たち
飼い主のいない猫に避妊・去勢手術を施して元の場所で適切に飼育管理する「地域猫活動」を広めようと、市民有志のボランティアグループがこのほど発足した。目指すのは「人と猫が共生できるまち」。活動の一環で9月5日(日)に保護猫の里親を募集する会を開く。
新たに活動を始めたのは、「赤穂の野良猫を地域猫にする会」(土居裕二会長)。土居さんと妻の佳世さん(51)が活動仲間の川崎健二さん(51)・悦子さん(50)夫婦とともに今月15日に立ち上げた。市内で未だに野良猫が多く、野良猫の産んだ子猫がカラスやタヌキに殺されているなど悲惨な話を聞き、「これ以上、不幸な猫が増えないよう行政に働きかけるなど、できることから取り組んでみよう」と集まった。
地域猫活動は、「捕獲(トラップ)」「不妊手術(ニューター)」「元の場所に戻す(リターン)」のそれぞれの頭文字を取って「TNR活動」とも呼ばれる。手術済みの目印に片方の耳先をV字にカット(さくら耳)して野良猫と見分けがつくようにし、地域の理解と協力を得た上で餌やり、トイレなどのルールを守って適正に管理。子猫を産まない一代限りの命をまっとうさせる。
こうした活動は横浜市磯子区で1990年代後半に始まった。同区では行政と住民、動物病院が連携して「猫の飼育ガイドライン」を普及させるための推進協議会を設立。区役所で猫の譲渡会を毎月開催するほか、ボランティアの負担を軽減するために不妊手術費用の助成制度を設け、野良猫の減少に成果を挙げているという。
同様の取り組みは全国に波及し、兵庫県内でもこれまでに11市が助成制度を導入して地域猫活動を支援している。赤穂市は「今後調査研究して対応していく」(今年6月議会で中谷行夫議員の一般質問に対する牟礼正稔市長の答弁)という段階で、善意の市民が自腹を切って里親探しや地域猫活動に取り組んでいるのが現状だ。千鳥地区では昨年、自治会がカンパを募ってTNR活動を実施した。
兵庫県動物愛護センターがまとめた「猫の適正管理普及推進のためのガイドライン」によると、メス猫は早ければ生後5か月ほどで子を産めるようになり、一度に2〜6頭の子猫を産む。2〜4月と6〜8月をピークに年に複数回の繁殖期がある。「1頭から1年で80頭まで増える」との試算もあるほどだ。完全屋内飼育の飼い猫の寿命が15〜20年とされるのに対し、屋外で生活する飼い主のいない猫の寿命は交通事故や猫同士の感染症などで3〜5年程度だという。猫の遺棄や野放しによる繁殖は地域の環境衛生を悪化させるだけでなく、不幸な猫を生み出すことにもつながっている。
赤穂市内でも猫に関するトラブルは少なくない。赤穂民報に寄せられた声だけでも、「毎日のように畑に糞をされてかなわん」「野良猫に餌だけやって、あとの世話はしない人がいる。注意したら『自分の猫じゃない』と言われた。無責任ではないか」「たくさん猫を飼っていた近所のお年寄りが亡くなり、残った猫が野良になった」「ごみステーションに生きた子猫が捨てられている」など。苦労してTNRを済ませた場所に、また新たな捨て猫が遺棄されることもあるという。
「野良猫を増やさないための仕組みづくりが必要」と土居さん。「地域猫活動や正しい猫の飼い方を啓発するなど行政、市民、ボランティアの三者が協力しないと解決しない」と訴え、近隣市町で地域猫活動に取り組んでいるボランティアや団体にアドバイスを仰ぎながら「少しずつ、できることから始めていきたい」と話す。
5日の里親会は加里屋まちづくり会館で午後5時〜7時半。入場人数を制限するなど感染症対策を徹底して開く。市内で保護猫活動を行っているボランティアグループ「ハピネス・オハナ」との共催で生後3か月前後の子猫約15頭についてワクチン・検査の実施、完全屋内飼育などを条件に里親を募集。猫の引き取りは行わない。手作りのアクセサリーやバッグなどのフリーマーケットで収益を今後の活動費用に充てる。問い合わせはメールako.noraneko.chiikineko@gmail.com。
掲載紙面(PDF):
2021年8月28日号(2429号)1面 (5,770,893byte)
コメント
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投稿:赤穂民報 2021年12月20日
すべてのコメントが一方向で気持ち悪い。フィルターがありますね。
投稿:コメントコントローラー 2021年12月20日
赤穂の野良猫を地域猫にするために
クラウドファンディングが始まったようですね
可哀そうだと思いつつ餌をやるわけにもいかず
でも我が家では事情があるため飼えず。。。
神戸や姫路、大阪のように一斉TNRなど
野良猫を増やさない活動があればいいなと思ってました
TNRしてくださる方々を支援したいです
投稿:猫好き 2021年12月14日
御崎地区の住人です。
毎朝海岸沿いを散歩していますが、大塚海岸からその上の展望台に野良猫が非常に多くいます。
釣り人や散歩されている方が餌をあげていたり、車で毎日のように餌をあげに来て少しの時間、猫と遊んで帰って行く姿を良く見ます。
いいことではないのでは?と思いつつただ眺めるだけですが、このような行為はどうなんでしょう?
答えが分からずいつもモヤモヤしています。
投稿:御崎 2021年08月29日
行政は我関せずではなく積極的に支援してほしい。警察は動物の遺棄を捕まえてほしい。
投稿:サンドニ 2021年08月29日
耳カットはかわいそう…という意見がありますが、あれは痛くないそうです。
そんなことよりも野良猫になる方がよっぽどかわいそうです。
今から猫を飼う方は、避妊手術をした猫(犬もそうですが)の方が飼いやすいし、引き取り手も多いと思いますよ。
野良猫の赤ちゃん、かわいいですがやはり増やしてはいけないです。
素晴らしい活動だと思います。
投稿:素晴らしい 2021年08月29日
まだまだ猫は外で自由に過ごす方が良いとか、避妊手術は可哀想と考える人が多い気がします。赤穂でもこのような活動が増え、少しでも不幸な猫が少なくなるよう、応援します。
投稿:りん 2021年08月29日
このような活動をされている方には本当に頭が下がります
我が家にも猫の家族がいるので寄付などできる範囲で協力したいですね
しかし保護活動をされている方の家や保護先などに心無い人が猫や犬を捨てていく事件が後を絶ちません
動物の遺棄は犯罪なので警察にはしっかりと捜査して逮捕してほしいです
投稿:牛柄のネコ 2021年08月28日
地域猫、家猫として、彼女、彼らが幸せに一生を全うしてくれますように。
街を想い、そこに生きる命を尊ぶからこその、「赤穂の野良猫を地域猫にする会」のみなさんのような活動こそ、行政を上げて支援し、応援されて欲しい。
赤穂市で、幸せに生きるさくら猫ちゃん、家猫ちゃんが増えるよう応援しています。
投稿:Shintaro 2021年08月28日
子猫の場合、避妊手術よりも先に一時的に一定期間保護して、その間にHP等で里親
を募集してみれば…と思います。毛色、瞳色、雌雄、全体の特徴写真を公開すれば
猫ブームですし、飼いたいと思う人も現れるかと思います。耳カットは、かわいそう…
なので本当に誰も引き取り手がなかった子だけにして欲しいです。
投稿:ドラ 2021年08月28日
赤穂市内在住です。野良の子猫が目に付くなあと気になっていました。
でもうちにも猫がいるからこれ以上は…と、見ないふりをしてしまいますが、ものすごく胸が痛みます。
なので、このような活動をされていることは、本当に頭が下がります。
譲渡会がたくさんの人の目にとまり、たくさんのご縁がありますように。
これからも頑張ってください!
投稿:asajin 2021年08月28日
猫の糞尿被害に長年困っています。餌をやるなら手術までしてあげて猫が増えないように面倒みていただきたいものですが…
投稿:福留 2021年08月28日
赤穂には家族で潮干狩りやキャンプに行きます。
綺麗な海と景色、穏やかな街並みに癒されますが、野良猫が目につき悲しくなっていました。
我が家も猫を飼っているので、家猫と野良猫の差を思うと辛いです。同じ猫なのに。
赤穂市の野良猫たちが地域猫になれるよう、そして1匹でも多くの野良猫が家猫となって安全に長生きできるよう願っています。
投稿:仁木 2021年08月28日
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