2022年02月09日
当面の感染予防対策や展望について語る矢部博樹氏
オミクロン株とみられる感染拡大が高止まりしている新型コロナ第6波。赤穂中央病院で「COVIDー19対策チームリーダー」を務める矢部博樹副院長に現状と対策などについて話を聞いた。(取材は2月7日)
ーー第6波が拡大しています。これまでと比べて感染予防に何か違いはありますか。
「すでにみなさんご存知かと思いますが、オミクロン株は従来株よりも感染力が強いことがわかっています。マスク着用、手指消毒を徹底する、三密を避ける、換気に注意をするなどという基本的な予防は同じですが、布マスクでは不十分で、不織布のマスクを着用してほしい。また、富岳での分析によれば不織布マスクをつけていたけれど50センチほどの距離で会話したら感染したとのケースもあるので、至近距離での会話は避けるべきでしょう」
ーーオミクロン株で発症した場合の症状に特徴はありますか。
「風邪とインフルエンザを足したような症状が多いようです。デルタ株に比べると肺炎になる率はかなり低い。味覚障害や嗅覚障害も少ないですね。発熱は個人差があり、中には高熱が出る人もあります」
ーー市販の風邪薬が効くと聞きましたが。
「薬が効くと言いましても、あくまでも対症療法ですね。熱が出た人は解熱剤、咳が出る人は咳止め薬をのむことで症状をおさえておいて、その間に自己治癒力で回復する。薬のみでウイルスをやっつけることができるというものではありません」
ーー発熱や咳など風邪症状が出たときに、どのように対応すればいいですか。
「基礎疾患や肥満がない若い世代は市販の薬をのんで2〜3日様子を見るということでよいと思います。でも、高齢者や基礎疾患のある人は早めに発熱外来を予約して受診するすべきです」
ーーコロナ病床の使用率が高くなっているようです。
「中央病院ではコロナ病床が8床ありますが、2月上旬の時点で満床に近い状態が続いています。満床だった日もあります」
ーー医療をひっ迫させないために、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。
「100%感染を防止する『ゼロコロナ』はとっくに現実的ではありません。高齢者や基礎疾患がある人など入院リスクの高い人たちをいかに感染から守るかに重点を置くべきです。高齢者の感染を減らせば、医療はひっ迫しません。第6波ではこれまで罹りにくいといわれていた12歳未満の世代に感染が拡大して、そこから家庭内で高齢者に感染するというケースが増えています。同居のお年寄りが3回目ワクチンを接種して2週間ほど経つまでは、お子さんと食事の時間や部屋を分けるなどしてほしい。そうした具体的な取り組みを啓発していくべきだと考えています」
ーー新型コロナは、いつ終息しますか。
「過去のデータから、大体120日周期で感染のピークを繰り返しているとの傾向が見られます。同じように推移するとするならば、1月下旬から2月上旬ごろがピークで、2月下旬ごろには減少傾向になりワクチン接種も進めば落ち着いていくのではないか。でも、それは今の第6波が『下火』になるということで、『終息』ではありません。ウイルスが、今以上にずる賢い株に変異していかないか、人類の方が集団免疫を手にするか。あとは手軽に服用できる特効薬ですね。そのときがインフルエンザのように皆さんがコロナが流行ってもさほど気にならない『終息』ということになるのでしょう」
[ 社会 ]
掲載紙面(PDF):
2022年2月12日号(2450号)4面 (7,182,952byte)
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