「昔話末永く語り継いで」切り絵作家・村杉創夢さん click to collapse contents
2022年10月30日
2019年5月から今号まで38話を掲載した「赤穂の昔話」シリーズ。挿絵を担当した村杉創夢さん(77)に話を聞いた。

「赤穂の昔話」シリーズの挿絵を担当した村杉創夢さん
――「赤穂の昔話」シリーズが最終回となりました。
「『創作きりえ昔話・潮吹き穴と赤穂の塩』(2016年1月〜11月掲載)から数えると6年以上になりますか。やりがいを感じながら毎回の挿絵を制作できました」
――どんなときにやりがいを感じましたか。
「元々は赤穂に伝わる昔話をほとんど知らなかったですが、じっくりと物語を読んで、それを形にしていく。その過程そのものにやりがいがありました。昔話を再度見直す機会に関われたことは自分としても良かったなと」

村杉創夢さん作「大団扇」
「赤穂高校時代のクラスメイトが『切り抜いて保存してるよ』と言ってくれて。『挿絵があるから、どこに載っているかすぐにわかるよ』と。挿絵はあくまでも物語に色を添えるものですが、切り絵をきっかけに物語を読んでもらえた人があるなら、役に立てたのかなと思います」

村杉創夢さん作「花吹雪」
「特に風景ですね。海にしても、山にしても、自分が子どもの頃から高校時代まで見ていた海や山を思い出しながら、読者が『これは赤穂の景色だな』と自然に感じてもらえるようにと意識していました。あと、挿絵の構想を練るために何度も物語を読みました。何度も読んで頭の中にできたイメージを鉛筆でスケッチブックに描いて修正をかけていきました。構図さえ決まればどんどん切っていけるんですよ。それまでが時間がかかります」

村杉創夢さん作「秋」
「人物がたくさん登場する作品は大変なんですよ。『縁切り地蔵』とか『蛇淵のお薬師さん』とか。アリをたくさん描いた『蟻無山』も大変でした(笑)。それと、『えん魔はん』は、えん魔さんってどんな姿だったかなと調べるところからやらないといけなくて。そのあたりはけっこう調べましたね」

村杉創夢さん作「赤高正門」
「どの町にも昔話や言い伝えがあるものですが、私が住んでいる町田市では残っていないんですよ。仕方がないので、自分で創作したわけです。赤穂は教育委員会がしっかり調査して本にして残している。それは素晴らしいことだと思います。そのベースがあったから今回の連載もできたわけで、末永く語り継がれていってほしいですね。挿絵の原画はすべてカラーにして保管しているので、赤穂で原画展を開ければいいなと思っています」

村杉創夢さん作「助六」
「歳時記や童、動物、植物など数多くつくってきました。ブログでも作品を紹介していますので、一度見ていただければうれしいです」

村杉創夢さん作「落ち葉」
▽村杉創夢さんのプロフィール=本名・村杉克彦。赤穂高校を卒業するまで赤穂で過ごし、元赤穂市長の豆田正明さんはクラスメイト。東京の大学を出て川崎市の保健所に勤務するかたわら30歳ごろから趣味で切り絵を始めた。定年後は自宅に設けた「村杉きりえギャラリー」(東京都町田市南大谷912の53、午前11時〜午後4時、金曜休館、見学無料。Tel042・728・9154)で作品を展示し、切り絵教室も開いている。ブログのタイトルは「きりえギャラリー村杉創夢(村杉克彦)の本箱」。
[ 赤穂の昔話 ]
掲載紙面(PDF):
2022年10月29日号(2481号)4面 (7,751,332byte)

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