2024年06月01日
赤穂市民病院の脳神経外科手術で2019年から20年にかけて多発した医療事故をめぐり、うち1件について兵庫県警捜査1課と赤穂署が当時の執刀医ら2人を業務上過失傷害の容疑で神戸地検姫路支部へ書類送検したことが捜査関係者などへの取材でわかった。容疑の対象となっているのは、病院が過失を否定している症例だ。
送検されたのは、手術を担当した男性医師(2021年8月に依願退職)と上司の科長で5月9日付け。
送検容疑は19年10月2日、後縦靱帯骨化症の女性患者(当時74歳)に対し、神経圧迫をなくすためにドリルで首の骨の一部を削る手術を行った際、過失により頸髄を損傷した疑い。女性は首から下が不随になる重度の後遺傷害を負った。
この医療事故をめぐっては、病院の医療事故報告書に「過て硬膜を損傷した(※原文ママ)」「もともと寝たきりのADL(※日常生活動作)であったため家族からの強い責任追及はなかった」などと過失を認めたと受け取れる記述がある。
さらに、病院の依頼で外部検証した日本脊髄外科学会理事の報告書でも「硬膜損傷の原因は、稚拙で荒いドリル操作につきる。非常に荒く、問題が発生しないかヒヤヒヤする」「解剖学的構造を理解していないばかりか、血液や生理的食塩水などによりドリリングしている溝が見えなくなっていてもドリルを突っ込んでいる。本当にありえない操作」と指摘されている。
しかし、病院は22年6月の記者会見で「外部有識者の検証を受け検討し、医療過誤ではないと判断した」と過失を否定。牟礼正稔市長も昨年5月に赤穂民報の取材に「再検証を行う考えはない」と問題に幕を引く意向を示している。
病院や市が医療ミスや再検証を否定している一方で、手術に関わった医師らが業務上過失傷害容疑で送検されたことを、どう受け止めるのか。病院は赤穂民報の取材質問に「書類送検があったとのことによる取材質問状については、回答を差し控える」とした。
警察は、別の患者に対する2020年1月22日の医療過誤事案(腰椎の手術で過ってドリルで一部の神経を切断し、両足と膀胱、直腸に重度の後遺障害が発生)についても同容疑で捜査を継続しているとみられ、捜査によってどこまで真相解明が図られるのか注目される。
5年前の医療事故をめぐる問題が未だに尾を引いている赤穂市民病院
掲載紙面(PDF):
2024年6月1日号(2554号)1面 (5,421,859byte)
コメント
この件、全国紙はどこも取り扱わず継続的に追ってくれているのが赤穂民報だけなので応援しています。
投稿:匿名希望 2024年06月12日
同業者としても真実は明らかにして欲しいと思ってたところで吹田の方では隠蔽、正当化と医療不信を強めることが起こっていることが本当に残念です。
せめて、始まりここの一件は当時の院長含めしっかり責任を果たしてほしいと思います。
芸能人は裁判の日などは明らかになり、傍聴がクジになったりしますがこの件の傍聴ができるように日にちも報道いただけないでしょうか?
投稿:neuro 2024年06月09日
容疑者の実名報道については、事件の社会的重要性、被害の大きさ、容疑の故意性や悪質さなどを総合的に考慮して判断しています。
本件はいまだ解明されていないことが多くあり、警察の捜査状況も詳細には不明なため、現時点では匿名報道としています。
投稿:赤穂民報 2024年06月04日
何故、実名報道しないのですか?これだけの事故なんだから実名報道をお願いします。
投稿:赤すぎんちゃん 2024年06月04日
民報さんの過去記事によれば、赤穂署による水面下での捜査着手は2022年夏ごろで、2023年に入ってからは捜査1課が病院関係者に聴取を行ってると書かれています。医療過誤になっている被害者(2020年の1月に起きた医療事故の被害者)が刑事告訴したのは2023年の11月だと書かれています。なので、刑事告訴によって捜査が行われたわけでは必ずしも無さそうですね。
一方、今回の案件(2019年の10月に起きた医療事故)の書類送検ですが、週刊現代の記事では「女性は(略)自ら訴訟を提起することはなかったのですが、兵庫県警はこれを悪質だと判断しました。」とあります。この文章は、被害者は告訴を行っていないが、県警が悪質と判断して書類送検したと読み取れます。
投稿:クトゥルフ 2024年06月02日
質問です。太郎さんのコメントに「今回の件のような告訴による捜査着手の場合」とありますが、この患者さんも告訴してたんですか?前に刑事告訴で記事になってた患者さんは捜査継続中ってことは告訴の件数二件ってことですか?
投稿:まさ 2024年06月02日
民報さんの言う通りで、まだ送検段階で起訴するかどうかは全く分かっていません
そもそも日本の司法制度では検察の指定した微罪以外では一度捜査に着手した事件は全て送検しなければならず、しかも今回の件のような告訴による捜査着手の場合は絶対に送検しなければなりません
それは容疑者が無罪が確実だろうと思われる件でもです
送検する際には検察には処分の意見書を送ってるはずなので、それが分かれば警察の事件の見立ては分かるのですが今の所それを報じている所はありません
実は起訴すべきでないという意見書を送ってる可能性もあるのです
投稿:太郎 2024年06月02日
書類送検された脳外科医が有罪であるかのようなコメントが複数投稿されましたが、現時点で罪が確定している訳ではありませんし、そもそも起訴されるかどうかも確定していない段階です。
有罪や起訴が確定したかのような内容を含むコメントは非表示としています。
投稿:赤穂民報 2024年06月02日
何日か前にネットニュースで問題の医師が書類送検されたのは読んだが、科長も一緒に書類送検されていたとは。今も市民病院勤務なんなら市は謝罪すべきなんでは?
投稿:元患者 2024年06月01日
手術を担当した男性医師は依願退職したという事ですけど上司の科長は今も市民病院で診察されているのですか?
投稿:疑問 2024年06月01日
市民病院はとことん隠蔽するつもりでしょう。
刑事裁判で有罪判決が確定したらさすがに謝罪会見するでしょうが、そのころには当時の関係者は皆退職。処分されることもありません。
投稿:毒食らわば皿まで 2024年06月01日
医療過誤を認めた人とは別件なんですね。この件、赤穂市民病院は「回答を差し控える」で済ませてはいけないのでは?ちゃんと説明責任を果たしてほしいです。
投稿:赤穂市民 2024年06月01日
地道に捜査を続けてくれた兵庫県警捜査1課と赤穂署に感謝します!
投稿:あこうっ子 2024年06月01日
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