《市民病院医療事故多発》医療ミスの脳外科医 業務上過失傷害罪で在宅起訴〜神戸地検姫路支部
2024年12月27日
赤穂市民病院の脳神経外科手術で2020年1月、業務上の注意義務を怠り、誤って神経を一部切断して患者に重い後遺障害を負わせたとして、神戸地検姫路支部は12月27日、執刀した医師を業務上過失傷害罪で在宅起訴した。
起訴されたのは、松井宏樹被告(46)=大阪市淀川区=。手術で助手を務め、今年7月に松井被告とともに書類送検された上司の科長(60)は不起訴となった。検察は松井被告の認否や科長を不起訴にした理由を明らかにしていない。
起訴状などによると、被告は20年1月22日、主治医として脊柱管狭窄症と診断した女性患者(当時74歳)の手術を執刀した。ドリルで腰椎を切削する際、止血を十分に行わず、術野の目視が困難な状態で漫然とドリルを作動して硬膜を損傷。さらにドリルに神経の一部を巻き込んで切断して患者に全治不能の傷害を負わせた、などとしている。
松井被告をめぐっては、関わった手術のうち少なくとも8件で患者が死亡または後遺障害が残る医療事故が発生。別の70代女性患者に対する手術で起こした医療事故でも業務上過失傷害容疑で書類送検されたが、同支部は今年9月に不起訴とした。また、その手術に関して虚偽の医療事故報告書を作成したとして、松井被告と科長、同僚医師が書類送検された有印公文書偽造・同行使容疑については27日に不起訴となった。
時効(業務上過失傷害罪は5年)まで残り1か月を切ったタイミングでの起訴に、検察幹部は「複数の専門医の意見を聴くなど慎重に捜査を進めた。結果の重大性などを鑑みて起訴の判断に至った」と語った。
関係者の話では、本件訴訟には被害者やその代理人が公判に出席して直接被告人に質問もできる被害者参加制度が適用される見通し。女性患者の長女は「二度と母のような医療被害者を生むことがないよう、執刀した医師を厳罰に処し、医療過誤を起こした医師が繰り返し手術したり不適切な診療を続けることのないよう、医道審議会には厳しい行政処分を下していただけますよう強く望みます」とブログにコメントを綴った。
松井被告は21年8月に赤穂市民病院を依願退職。その後は大阪市の医誠会病院を経て、吹田市の吹田徳洲会病院に採用された。かつて在籍した医師が在任中の医療過誤をめぐる罪で起訴されたことを受け、赤穂市民病院の開設者である牟礼正稔市長、高原秀典・病院事業管理者は27日、「訴訟係属中のため、本件に関するコメントは差し控える」と書面で回答した。
松井被告は21年8月に女性患者と家族から民事でも訴えられた。一方、23年10月には、専門医試験の受験を妨害されたなどとして、市民病院在籍当時の院長と上司だった科長、赤穂市を相手取り、損害賠償を求める民事訴訟を起こした。いずれの裁判も係争が続いている。
* * *
関係者コメントなどを追記しました。(2024年12月28日7時30分)
相関図を追加しました。(2024年12月28日9時30分)
記事と相関図に一部誤りがありましたので更新しました。(2024年12月28日19時5分)
[ 社会 事件事故 ]
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コメント
事故?事件?が漫画やマスコミに晒されてから病院はダンマリを決め込んでいる。
何を発言しても足元をすくわれないように。
これだけの人数が被害を受けて年数も経っているのに事がなかなか進まない。民間人が医者を訴えるのはやはり並大抵ではないのだろう。早く解決する事を願っている。
投稿:謹賀新年 2025年01月01日
第三者委員会(赤穂市や市民病院と無関係な人)を立ち上げて今からでも徹底的に調査してほしいです。医師が起訴された医療事故は当たり前ですが、他の医療事故や、赤穂市民病院がなぜ松井被告を依願退職させたのかも徹底的に調べてほしいです。遡ってでも松井被告や当時の病院幹部たちを懲戒処分にすべきだと思います。この問題を放置してきた市長の責任も問われるべきと思います。
投稿:赤穂市民のひとり 2024年12月31日
やっと、名前も出てこれからの報道を期待しています。
漫画がかなり事実に近いこともわかってきましたが、
そうであれば、退職金がっぽりもらってやめた、前院長の責任追及は必須です。
あれだけ野放しに松井氏をして自分だけお金取って逃げる
というのは許されないのではないでしょうか。
投稿:同業者 2024年12月31日
刑事事件で起訴されたのに訴訟中を理由にコメント出さない市長も院長も不誠実過ぎる。起訴されたらほぼ有罪ですよ。それぐらい証拠のある事件しか日本は起訴しません。犯罪行為で起訴されるって相当なことですよ?この事件が起きるまで何件も医療事故が起きてたのに何で止められなかったのか説明責任果たして欲しい!コメントすら出さないってどういうこと??
投稿:不誠実過ぎる 2024年12月29日
一連の事件の責任は彼が取るべきと思う一方で、ヒューマンエラーのみならずシステムエラーを改善しなければ、また同様な事件が起こりうる。
彼に処罰が下ったからといって、それで幕引きをしてはいけない。
投稿:この事件に強い関心がある者 2024年12月28日
一件を除くほか全ての書類送検が不起訴というのはショックです
投稿:a 2024年12月27日
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