2008年02月23日
「餅は餅屋」というように、専門分野それぞれに素人にはわからない世界がある。しかしながら、12日夜の高層マンション火災に高所放水車を出動しなかった赤穂市消防の対応については不満を口にしたい。
市消防には、30メートルのはしごを備えた「高所放水車」(昭和61年導入、価格8500万円)と15メートルの「はしご付消防車」(平成6年導入、5800万円)の2台のはしご車が配備されている。
消防出動時の対応マニュアルとしている「赤穂市消防計画」では、「3階以上の建物の場合ははしご車、5階以上の場合は高所放水車」を第1陣としてポンプ車と同時出動させるのが原則。9階建てマンションの5階部分から出火した今回の火災はまさにこのケースにあたる。
今回は、消防隊員の現場到着とほぼ同時に部屋の住人が帰宅したため屋内活動で消火できたものの、もし家人が戻ってきていなければ高所放水車による屋外からの放水が必要となった場面も想定できる。最悪の事態を考えると、同時出動していなかったことによる“5分間の損失”が致命を招いたかも知れない。当時出動可能だった署員10人を2台のポンプ車と高所放水車に分乗し、現場の状況に応じて3台のうち必要な2台を稼動させる―のがベストの判断だったのではないだろうか。
また、取材の中で明らかになったことだが、高所放水車の操作訓練を修了済みの署員は「全体の約半数」(同署)という。この率を上げなければ、せっかく高い税金を使って配備している車両が“宝の持ち腐れ”になりかねない。
一分一秒を争う消防現場では、たった一つの判断や操作が人命を左右する場合もありうることは私たち素人にも容易に推測できる。市民の生命と財産を守るために昼夜を問わず尽力している消防署員のみなさんには頭が下がる思いだが、その努力が無駄になることのないようにあえて苦言を述べた。
[ 社説 ]
掲載紙面(PDF):
2008年2月26日(1781号)1面 (8,993,979byte)
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