赤穂民報

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有年公民館「ふるさと思考」が40号に

2010年04月08日

 地域住民から寄せられた文化、歴史の論文をまとめた「ふるさと思考」(A4判、53頁)が有年公民館から発刊された。
 昭和54年に創刊し、40号となった。室井正彰さん、久保良道さん、立花三千男さんの3人が寄稿。昭和初期に医師、松岡與之助氏(松岡秀夫氏の兄)が編集発行していた「郷土研究」創刊号の復刻版(横山博光さんまとめ)も収められている。その中で、久保さんが書いた「明治の学校教育−国定教科書編纂と韓国併合−」を読んだ。
 久保さんは以前から「学校教育」を「戦争」と並ぶ郷土史研究の大きなテーマとして着目してきた。今回の論文はその一端をまとめたもので、明治時代に教科書が国定化された経緯を史料から整理。「学校沿革誌」をひも解き、当時の赤穂市内尋常小学校であった行事や出来事と日清・日露戦争、韓国併合といった社会情勢との関連を考察している。
 当時の歴史認識をめぐっては先月、日韓有識者による歴史共同研究の第2期報告書が発表された。両国の教科書叙述を専門に検討する小グループも設けられたが、近現代史における認識や解釈の隔たりは大きく、報告書の両国共同挨拶には「『何でも解決できる』というわけでないことも直視すべきであろう」とも書かれた。
 久保さんは「わが国の近代社会を解く鍵は、日清・日露戦争と韓国併合の三点にあると思っている。今後、さらに多くの資料の分析をする必要性を痛感している」と文を結んでいる。学者同士の検討だけでなく、こうした“草の根研究”の積み重ねが地に足の着いた歴史認識につながるのだろう。
 「ふるさと思考」は市立図書館、各地区公民館で読むことができる。久保さんは自身の論文を抜粋した冊子を100部製本。市立民俗資料館で無料配布している。


文化・歴史 ]

掲載紙面(PDF):

2010年4月24日(1893号)4面 (8,512,085byte)


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