2010年06月04日
貴重な調査成果を詳細につづった「有年牟礼・井田遺跡発掘調査報告書」
土地区画整理事業に伴い、約2200年前の焼失竪穴建物跡が見つかった「有年牟礼・井田遺跡」の発掘調査報告書(A4判112ページ)がこのほど赤穂市教委から発刊された。出土物の放射性炭素年代測定結果も盛り込まれ、同教委は「東瀬戸内地域における弥生集落の研究において有意なデータを提供できた」としている。
同遺跡はJR有年駅の北東約300メートルの一帯にあり、平成19年度から3カ年かけて計約3200平方メートルを発掘。弥生時代から中近世に至る遺跡が見つかった。
そのうち、弥生中期に火災で焼けたとみられる竪穴建物跡が40メートルほどしか離れていない位置で2棟出土。焼け跡の特徴は「屋根が土葺きだったことを示す有力な証拠になりうる」(市教委)という。
竪穴建物の屋根は従来、茅葺き構造とするのが通説だったが、近年の研究では土葺きだった可能性も指摘されている。同遺跡の焼失建物跡は新説を裏付ける貴重な事例といえる。
報告書では、写真や図表をふんだんに使って調査成果を紹介。焼失建物跡については巻頭と裏表紙にカラー写真を掲載した。
編集を担当した荒木幸治学芸員(33)は「確認調査前には、よもや弥生時代の集落跡が見つかるとは考えられなかった。小規模ながら当時の景観をいきいきと描き出す成果が得られた」としている。
一部600円。市教委生涯学習課(Tel43・6962)、市埋蔵文化財調査事務所、市立歴史博物館で販売している。
[ 文化・歴史 ]
掲載紙面(PDF):
2010年6月5日(1898号)4面 (9,574,640byte)
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