2008年04月16日
縄文時代以降の貴重な遺構が多数出土した「有年原・クルミ遺跡」の発掘調査報告書(A4判116ページ、巻頭カラー)がこのほど赤穂市教委から刊行された。これまで詳細でなかった矢野川左岸の埋蔵文化財に光を当てるもので、市教委は「赤穂市の地域史を語る上で欠かせない一冊」としている。
同遺跡は有年土地区画整理事業に伴って平成18年10月から約半年かけて発掘調査された約2600平方メートル。矢野川流域では初めて縄文時代後期の土坑が出土するなどの成果があった。
報告書は発掘概要を図表入りで掲載。特徴的な文様の土器片は拡大写真で紹介し、読むだけでなく見ることに重点を置いた構成となっている。昭和59年に赤穂で初めて縄文土器が出土した塩屋・堂山遺跡の発掘結果も掲載し、京都大学埋蔵文化財研究センターの千葉豊氏が解説文を寄せている。
同遺跡で発掘された縄文後期の土器について、市教委の荒木幸治学芸員(31)は「土器の文様が限られた年代時期に見られるものしか出土しておらず、当時は定住せずに移動しながら生活していたのだろう」と推測。「暮らしに適していると思われる高い地所は未調査で、今後さらに人々の生活跡が見つかる可能性もある」と総括している。
700部発行。1部500円で市教委生涯学習課(Tel43・6962)と歴史博物館で販売している。
[ 文化・歴史 ]
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掲載紙面(PDF):
2008年4月19日(1791号)3面 (6,710,911byte)
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