2010年11月20日
赤穂市で初めて「現代の名工」に選ばれた明石隆之さん
伝統工芸や工業技術など各分野の第一人者を表彰する「現代の名工」の平成22年度受賞者がこのほど厚生労働省から発表され、加里屋の建築塗装工、明石隆之さん(73)=明石塗装店社長=が選ばれた。推薦者の兵庫県によると、赤穂市からは初めての受賞。明石さんは「現役である限り、受賞に恥じない仕事を続けたい」と話している。
明石さんは塗装工歴56年のベテラン。漆塗、渋塗など日本固有の技法に加え、日々進歩する塗料についても熱心に研究し、奥の深い知識と技能を保持している。県指定文化財の市立民俗資料館、市内小・中学校など多くの実績を誇り、塗装検定委員として後進の育成にも努めている。
中学卒業から15年間、赤穂と大阪の塗装店で修業。19歳からタイ・バンコクに2年間滞在し、新たに架かった鋼橋の塗装に関わるなど、多くの経験を積み、30歳で独立した。
「昔は、やりがいのある仕事が豊富にあったが、最近はほとんどの建材が工場加工」と業界を取り巻く環境の変化を嘆く明石さん。「だからこそ、一つ一つの仕事をおろそかにしたくない」と職人の心意気を語っている。
「現代の名工」は技能水準の向上などを目的に昭和42年度に創設された表彰制度。卓越した技能を持つ現役従事者を対象に厚生労働大臣が選定する。今年度は全国150人が選ばれた。
[ 社会 ]
掲載紙面(PDF):
2010年11月20日(1920号)1面 (10,699,947byte)
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