2010年12月18日
市議の親族が役員を務める会社が赤穂市と結んだ請負契約の是非をめぐる騒動は、「赤穂市議会政治倫理条例」(以下市条例)のあいまいさを改めて露呈した。
今回問題となったケースでは、「取締役は『経営』に含まれるのかどうか」という点で、議会内で解釈が分かれた。「個別の事案ごとに対応を考える」として細部まで規定しないまま条例施行したため、起こるべくして起こった問題と言えるのだが、「親族」に姻族(配偶者の血族。例えば、夫からみて妻の親やきょうだいなど)を含むことについても議会内ではいまだに異論が存在する。
ちなみに、姻族も含むのならば、現在は市と問題なく請負契約を結んでいる会社であっても、役員の子や孫が市議と結婚したり、すでに市議と夫婦関係にある人の親や兄弟姉妹が社員から役員に昇格したりすれば、その会社は「条例違反」の状態となる。
もちろん、縁戚となった会社に議員が便宜を図るようなことがあれば問題だが、単に「姻族」になったことで市関連の仕事を請け負う機会を失ってしまうというのはいかがなものか。それとも、議員という公職に就く以上、払わなければならない“犠牲”なのだろうか。いずれにしても、議員に立候補しようという人にとっては重大事のため、あらかじめルールを明確にしておくべきだ。
そもそも、多くの市民が求めているのは、「議員の親族を市関連の仕事から締め出す」ことではなく、「議員の立場を利用した不正をやめさせる」ことだろう。そうならば、請負契約の金額、内容、会社情報などを市民が手軽に知ることができる環境を整える方が、効果があるのではないか。
赤穂市議会は倫理条例のあいまい解消と合わせて、市当局が情報公開を推進するように働きかけるべきだ。
[ 社説 ]
掲載紙面(PDF):
2010年12月18日(1924号)3面 (12,564,616byte)
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