2008年05月31日
入選作を手に喜びの佐々木英明さん
全国最大級の美術公募展「第82回国展」(国画会主催)の写真部で、赤穂市内の写真店に勤務する佐々木英明さん(42)=姫路市飾磨区=が初めての応募で見事に初入選を果たした。「1回目の応募で入選できるとは思ってなかった。励みになります」と望外の結果に喜んでいる。
受賞作は、厳冬期に凍結した千種川の川面を中判カメラで撮影したカラー写真で題名は「存在」。「凍てついた丸い岩の存在感に引き込まれた」という。岩から放射状に伸びる氷紋が印象的で、夜が明けきっていない早朝の張り詰めた空気が画面から伝わってくる。
撮影現場は北野中の川原。「川面が凍った引き潮の日の夜明け」という限られた機会を狙うために現場に毎朝通い詰め、10日目にようやく撮影に成功。「翌日以降はもう氷は張らなかった」というからラストチャンスをものにした。
中学2年のときに「天体写真を撮りたくて」中古の一眼レフを買った。社会人になってからは「生まれ故郷の塩屋を写真で残したい」と失われつつある古い町並みにレンズを向ける一方、写真同好会「写壇・あすなろ」に所属し、自然をテーマにした撮影活動を行っている。
先輩の写真家からは「だめもとで応募してみるか」と言われ、自分でも期待していなかった。主催団体のホームページを見た知人から入選を知らされ、「同姓同名ちゃうの?」と驚いた。
「被写体に感じたことをストレートに表現」するように心がけている佐々木さん。「描いたイメージを瞬時に撮れるようにもっと経験を積んで技術を磨きたい」と受賞を励みにしていた。
今回の国展写真部には510点の応募があり、入選は201人。佐々木さんの作品は同展大阪会場(6月10日〜15日、大阪市立美術館)で展示される。
[ 文化・歴史 ]
掲載紙面(PDF):
2008年5月31日(1797号)3面 (8,766,122byte)
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