2012年03月24日
赤穂市と関西福祉大学附属地域センターが成人市民を対象に行った「防災意識に関するアンケート調査」で、地域の避難場所について8割以上が「知っている」と答えた一方、指定避難場所に逃げると回答したのは約5割にとどまった。
2割が指定場所以外への避難を見据えたほか、約15%は「自分や家族の年齢・事情を考えると勧告や指示のとおり避難できないかもしれない」と不安を抱えていることがわかった。
アンケート調査は、市における今後の防災対策の課題を明らかにする目的で行った。昨年12月、小学校区ごとに抽出した20歳以上計1000人に調査票を郵送し、464人から回答を得た。
集計結果によると、「居住地の避難場所を知っているか」の質問に81・9%が「知っている」と答え、「知らない」(16・8%)を大きく上回った。
しかし、「避難勧告・指示が発令された場合、どのように判断するか」との問いには、「勧告や指示のとおり、指定された避難場所に避難する」と選んだのは50・2%にとどまり、「津波時(洪水時)は避難所ではなく、自宅・自宅周辺の高所に避難するだろう」(20・5%)「自分や家族の年齢・事情を考えると勧告や指示のとおり避難できないかもしれない」(14・7%)となった。
勧告・指示のとおりに避難しないとした人に理由を尋ねたところ、▽指定された避難場所自体が安全か疑問(44・8%)▽避難するかどうかは自分で決めたい(27・6%)が多く、防災行政への不信感が垣間見えた。
また、「市に特に力を入れてほしい防災対策」(複数回答可)としては、▽複数の手段による情報提供(70・0%)が最も多く、▽備蓄物資の充実(52・9%)▽医療施設の充実(45・4%)と続いた。「居住地で必要な防災の取り組み」(同)は、50歳代以下では「耐震化・堤防整備」を求めた人が多かったのに対し、60歳代以上では「近隣住民のコミュニケーション」「地区連絡網の充実」が上回り、世代によって考え方の違いが出た。
その他、ハザードマップの認知度調査では、51・7%が「知っている」としたのに対し、43・8%が「知らない」と答えた。「知らない」と回答したのは20歳代(69・0%)、80歳代(65・7%)で多かった。
調査を担当した菅由希子・同大社会福祉学部助教(31)は「行政はあらゆる世代の住民に対し、より多くの情報を複数の手段をもって提供できるよう努めるべき。住民も日常から生活に『防災』を取り込んでコミュニティを形成する必要がある」と提言。市は24年度に地域防災計画の見直しを予定しており、市安全安心担当は「アンケート結果も参考にしつつ、課題解決に取り組みたい」と話している。
[ 社会 ]
掲載紙面(PDF):
2012年3月24日(1984号)1面 (8,939,495byte)
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