2012年06月29日
古民家を改築して坂越へ移住した岡村敏明さんと自慢の新居
市街地景観形成地区に指定されている坂越・本町通り沿いの古民家を改築した男性が、生まれ育った京都からこのほど移住。長年憧れた“田舎暮らし”を始めた。
坂越に移り住んだのは、京都市伏見区の元建築塗装会社経営の岡村敏明さん(62)。住み慣れた古都を離れてまで選んだ終の棲家。「ずっと夢に見た暮らしがここにある。第二の人生を思う存分楽しみたい」と話している。
ここ20年ほど空き家だった築約50年の平屋建て家屋を今年2月に購入。新年度まで手続きを待たなければなかった市の補助金は「時間がもったいない」とあきらめ、翌月初めに着工した。材木卸、瓦工事など地元の業者をクチコミで探し、部材も自分の目で選定。工期中は市内の旅館から現場へ通って施工監理し、外壁や内装の塗装はもちろん自分の手で行った。
40代のころから、「いつかは自然豊かな落ち着きのある土地に古民家風の家を建てて暮らしたい」と思い描いていたという岡村さん。「田舎暮らし」をキーワードにインターネットで候補地を検索し、10年ほど前から何カ所も下見を重ねてきた。一昨年に末っ子の長男が就職し、「ようやく親の責任を果たせた」と計画の具体化に入った。
坂越を初めて訪れたのは4年前の初冬。「海にほど近く、はんなりした町並み」は求めるイメージにぴったりだった。静岡、宮崎など人気の高い土地も見学したが、「やっぱり坂越が一番」と、改築費用がかさむことは覚悟の上で決断した。
先月21日に完成した新居は平屋建て16坪。景観基準に合わせた黒い焼板と白漆喰風の外壁が周囲の景観と調和している。柿渋を塗った玄関引き戸がアクセント。2つある6畳部屋の太い梁は改築前の家屋で使われていたものをそのまま活かした。
「イメージ通りの出来。完成したときは、ほっこりした気持ちになりました」と岡村さん。「ここを選んでよかった」との思いは日増しに強くなっているという。留守宅を守る妻の知恵子さん(61)を京都に残した状態だが、「いずれはこちらに呼び寄せて一緒に暮らしたい」と思っている。
新生活が落ち着けば、京都の友人たちも招くつもり。「この家と坂越の両方を自慢したい。『なんで赤穂?』と首をかしげた人たちも、きっと納得するはず」と、その日を楽しみにしている。
[ 街ネタ ]
掲載紙面(PDF):
2012年6月30日(1996号)4面 (10,233,638byte)
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