2012年07月07日
備前焼作家として活躍が期待される高力芳照氏
近作「備前徳利・ぐい呑」
陶芸専門誌「炎芸術」(阿部出版)の2012年夏号が特集した「現代人気陶芸家50人」に赤穂出身の備前焼作家、高力芳照氏(42)=備前市閑谷=が選ばれた。専門家からは「得意とする茶器、酒器などには、すでに枯淡の境地を見せる」と評され、活躍が期待されている。
備前焼の美術商を営む家に生まれ、人間国宝をはじめ名人らが手がけた作品を日常的に見て育った。物心ついたときには粘土を触って遊び、中学生になったころには将来の職業を「陶芸家」と決めていたという。
高校を卒業してすぐに金重素山(1909−95)=岡山県重要無形文化財保持者=、金重有邦に師事。土づくりの重要性を徹底して教えられた。7年間の修業を経て、平成8年に独立。その年に死去した素山の最後の弟子となった。
35歳に初個展を開いてから東京、岡山などで毎年作品発表の機会を設け、田部美術館の公募展「茶の湯の造形展」は今年で通算7度目の入選。「美を見る眼を養いなさい」という師匠の教えを常に心に持ち、茶道具や仏像、能面といった美術工芸品、さらには山や空などの自然界に日々発想を求めている。
「今は新しいことへの挑戦と失敗の連続。でも、その失敗から勉強させてもらっています」と高力氏。「作家として有名になることより、自分自身が納得できる器を一つでも多くつくりたい」と、作陶の道を悠然と進んでいる。
[ 文化・歴史 ]
掲載紙面(PDF):
2012年7月7日(1997号)4面 (7,323,930byte)
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