2013年01月08日
赤穂城下町跡で出土した木簡、有年原・クルミ遺跡で発掘された墨書土器などを展示する速報展
赤穂城下町跡で出土した木簡の一部=文字が見やすくなるように画像の明るさを調整しています
有年原・クルミ遺跡で発掘された墨書土器=文字が見やすくなるように画像の明るさを調整しています
赤穂市教委が行った赤穂城下町跡の発掘調査で、池田時代(1600〜45)に「鉄鉋屋敷」があった場所の隣地から鉄の塊、炉壁など鍛冶や鋳造に関連のある遺物が多数出土した。
市教委は「科学的な分析を待たなければならないが、鉄鉋屋敷に関連した遺物かもしれない」とし、1月9日(水)から有年楢原の市立有年考古館で速報展を開く。
調査は民間住宅の建て替えに伴い昨年11月中旬から12月下旬まで行われ、加里屋上町で約160平方メートルを発掘。350〜400年前の造成とみられる地下90センチほどの地層から鉄塊や鉄滓(鉄の鋳造や鍛冶のときにできる不純物)、木炭、ガラス片などが見つかった。池田時代の絵図と照合したところ、発掘現場は城下町の北はずれに当たり、西に「鉄鉋屋敷」、南に「鉄鉋薬合所」が隣接していたことが判明した。
鉄砲玉や製作道具は確認されなかったが、木炭は火薬の材料に使われた可能性もあるという。荒木幸治学芸員(35)は「現時点では鉄鉋屋敷、鉄鉋薬合所の遺物かどうか判断できない。顕微鏡検査などを行えば、何を作っていたものか解析できるのでは」と今後の調査研究に含みを持たせた。
今回の発掘調査では、江戸後期(200〜300年前)の遺構面から40点近い木簡も出土した。幅3〜5センチ、長さは最も長いもので19センチほど。「大黒屋」「大坂」「もぐさ」といった文字が読み取れ、荷札や商売に関するものだったと思われる。平成10年度に始まった赤穂城下町跡の発掘調査で町家の裏地を面的に発掘したのは、これが初めて。荒木学芸員は「数多くの遺物がいまだ埋蔵されていることが明らかになった。今後の調査でも良好な資料が出土するだろう」と期待している。
速報展は1月14日(月)まで午前10時〜午後4時。「有年原・クルミ遺跡」でこのほど出土した奈良時代の墨書土器を含め約100点を展示している。入館無料。Tel49・3488。
[ 文化・歴史 ]
掲載紙面(PDF):
2013年1月12日(2022号)1面 (8,512,978byte)
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