赤穂民報

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能に新風「世阿弥」好演

2013年07月07日

  • これまでになかった現代語の脚本と演出効果で観客を魅了したスーパー能「世阿弥」

    これまでになかった現代語の脚本と演出効果で観客を魅了したスーパー能「世阿弥」

 現代語の脚本と照明効果による演出で伝統芸能に新風を吹き込むスーパー能「世阿弥」の赤穂公演が7日、中広の市文化会館ハーモニーホールであり、観世流シテ方の梅若玄祥、和泉流狂言師の野村万作らが好演。これまでにない斬新な舞台を約630人が鑑賞した。
 能を大成した世阿弥の生誕650年と国立能楽堂開場30周年を記念した新作能。大ヒットしたスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の脚本を執筆したことでも知られる哲学者の梅原猛氏(88)が、世阿弥の息子・元雅が若くして謎の死を遂げた悲劇に着想を得て脚本を書き下ろした。赤穂が能楽の祖、秦河勝ゆかりの地であることから、東京、大阪に次ぐ3カ所目の上演会場となった。
 世阿弥父子をうとんじた将軍・足利義教の遣わした刺客によって元雅が殺された−とする梅原氏の解釈を元にした物語。父を守るために息子が自ら進んで犠牲になったという筋書きで親子の情愛、芸術と政治の対立を描いた。
 死の真相を打ち明ける場面では元雅の亡霊が「私が死んでも観世の能は絶えませんが、父上が死んでは観世の能は絶えます」と語るなど、台詞の大半を現代語で構成した。舞台奥には高野の里山から当日朝に切り出した高さ5メートルほどの青笹が立ち並び、間接照明と相まって月夜や日暮れの時間変化、登場人物の心情を象徴的に表した。
 能の道を生き抜くことを元雅の霊に誓う世阿弥らの三人舞で約90分間の舞台が終演。神河町から夫婦で来場した自営業の宮浦俊文さん(65)は「現代語でも能の雰囲気は壊れず、とても格調高かった」と拍手を送っていた。


文化・歴史イベント ]

掲載紙面(PDF):

2013年7月13日(2045号)3面 (8,752,687byte)


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