2014年07月12日
坂越でカキ養殖を修業中の井川翔太さん
夢を追いかけるうちにたどり着いた赤穂の地。風に乗って地上に降り立った冠毛のように、花を咲かせようと頑張る人たちを紹介します。第4回は坂越でカキ養殖を修業している東大阪市出身の井川翔太さん(20)です。
* * *
中学卒業して夜間の高校に行ったんですけど、昼間に時間が空いたんで、16から父の店の手伝いしてました。父の店ですか。南船場と道頓堀にある「おさかなやたいまつり」っていう海鮮系の居酒屋です。高知の宿毛とか全国各地から直接魚を仕入れて、カキもいくつかの産地から仕入れてます。よその店よりも安い値段で出してるんで、結構喜ばれてます。坂越産は大粒で甘みが強いので人気があります。
2年くらい前ですかね、父が「自家生産したカキを店で出したい」って言い出して。その提案に乗っかりました。自分はデスクワークとか向いてないし、普通に就職するよりは夢があっていいかなと。
去年の3月に仕入れ先の一つで、広島の江田島にあるカキ養殖業者さんのところへ行きました。従業員さんの数が40人か50人くらいで、海外産の輸入もやってる会社。水揚げ、出荷など一通りの作業を経験させてもらえました。
広島はワイヤーにカキを吊るして養殖するんですけど、長いものだと1本で150から200キロくらいあるんです。それを手で筏から外して、ワイヤーの先を輪っかにしてから、また引っ掛ける。それまでスポーツもしてなかったし、筋力も全然なかったんで、ほぼ毎日筋肉痛という状態でした。
軍手一枚だけだと、一本揚げただけで血豆が出来ました。海にはまるのはしょっちゅうです。筏の上の作業に慣れていないというのもありましたし、他の船の波で揺れたりするとドボンと。
そこで10月までお世話になりまして、坂越の鎌島水産さんで11月の終わりごろから働かせていただいています。赤穂と広島とでは種付けも養殖も水揚げもやり方が違うんで勉強になります。船の免許は赤穂に来る前に取りました。
社長からは、赤穂で漁業権とるんやったら十年ぐらいは頑張りよ、と言われてます。養殖の方法を覚えるだけじゃなくて、ちゃんと漁協の組合員になって経験を積んで、信頼も得ないといけないんだと思います。
組合員になれば、やっぱり会費とかも必要になるんで、貯金もしないといけないなと。広島のときの貯金は赤穂への引っ越しや準備で使ってしまって、こっち来たときはほとんどゼロ。また少しずつ貯めてます。できれば、小さいときにかわいがってくれたおばあちゃんに旅行をプレゼントしたいと思ってるんです。高いところは無理ですけど、ちょっとした温泉旅行やったら、この夏に出来そうです。(つづく)
[ 瀬戸の風に誘われて ]
掲載紙面(PDF):
2014年7月12日(2095号)3面 (9,250,620byte)
コメント
坂越の牡蠣を有名にしてほしいです。
投稿:頑張ってください 2014年07月14日
※コメントは投稿内容を赤穂民報社において確認の上、表示します。
投稿ルールを遵守できる方のみご投稿ください。