赤高ナイン熱戦譜(32)全国でも恥ずかしくない内野陣
2015年10月10日
第36回全国高等学校野球選手権大会兵庫予選大会決勝、滝川−赤穂の得点経過と先発選手=1954年(昭和29)8月5日
ここで一塁手の高尾がマウンドに駆け寄り、石橋に声を掛けた。高尾は「何を言ったか覚えていない」というが、おそらく投球に苦心している後輩を思いやったのだろう。
高尾の気遣いで落ち着いたのか、石橋は喜吉を初回と同様、遊ゴロ併殺打に仕留めた。2球前には、あわや長打という大ファウルがライト方向へ飛んだが、持ち前の強気のピッチングで乗り切った。
石橋は6回裏にも喜吉と対戦。無死1塁で三塁線強襲の内野安打を打たれたが、打球を体で止めたサードの塩崎が2塁へ送球。球が外野へ抜けたと思い込んでセカンドベースをオーバーランした走者をアウトにした。
塩崎の話では、臨時コーチの渾大防は内野陣の連係プレーにも練習時間を割いた。走者を誘い出して刺殺するピックオフプレーの練習もあったというから、その経験がこの場面で役立ったのかも知れない。
大会前はまったく下馬評に上らなかった赤高だが、大会後に朝日新聞に掲載された講評では、「内野守備は全国大会に出しても恥ずかしくない」と評され、ポジション別の優秀選手に高尾、勝本、中村、塩崎の3年生4人の名前が挙がった。
4回以降は両チームの投手が本来の調子を取り戻し、スコアは動かず。試合は滝川1点リードのまま終盤へと移った。(文中敬称略)
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2015年10月10日・第1部(2156号) 3面 (11,394,584byte)
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