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美術工芸館図録に真贋疑惑 販売休止

 2017年04月08日 
真贋疑惑を指摘され、販売休止となっている特別展の図録
 赤穂市立美術工芸館田淵記念館が昨年11月に刊行した平成28年度特別展「激動の時代、幕末志士たちの美−藤本鉄石と河野鉄兜を中心に−」の展示品図録について、個人研究家から「贋作もしくは真筆とは断定しがたい物が多数含まれている」と指摘があり、同館が図録の販売を休止していることがわかった。同館は「再確認が必要と判断した。調査した上で今後の対応を検討したい」と話している。
 特別展は勤王派の幕末志士、藤本鉄石(ふじもと・てっせき、1816−63)の生誕200年と同時代の漢詩人、河野鉄兜(こうの・てっとう、1825−67)の没後150年を記念し、今年1月16日まで2か月間の会期で行われた。赤穂をしばしば訪れた二人の遺墨を中心にゆかりの人々の絵画や書などを展示。図録はA4判96ページで展示品66点すべてをカラー写真で収録し、「往時の志士たちの心情を美的観点から窺い、幕末の時代に思いを馳せていただければ幸いです」などと趣旨が述べられている。
 疑義を指摘したのは、河野鉄兜研究家の前嶋第誓(だいせい)氏(54)=姫路市網干区=。郷土の偉人である鉄兜について約30年間にわたって研究し、遺墨約100点を収集している。姫路市文化財課によれば、「知る限りでは、鉄兜研究において最も詳しく、鑑定眼も確か」とされる。
 特別展で鉄兜関連として展示されたのは掛軸や襖など30点で1割が館蔵品、9割は複数の個人から借り集めたものだった。同氏は1月11日に同館で展示を目にし、「真贋が不明確な物、もしくは明らかな贋作がある」と気付いたという。その日は管理職が不在だったため翌日にメールで抗議し、回答を求めた。展示を担当した学芸員が15日に同氏と面会し、「内部で協議した上で返事する」と答えた。同館は2月6日までに図録の販売を休止。発行した600部のうち461部が頒布済みという。
 前嶋氏によれば、鉄兜は明治から昭和40年代にかけて評価が高まり、その遺墨は「平均的な月給が20円から40円の時代に最も高額なものだと200円で取引されていた」ほど人気があった。鉄兜を専門とした贋作者も存在し、骨董商の間では「世の中に『鉄兜の書』として出回っている作品の7〜8割は贋物」とも言われている。姫路市文化財課も「鉄兜に贋作が多いのは事実。学術的な研究が確立されているとはいえず、慎重に真贋を見極める必要がある」と指摘する。
 赤穂民報が他自治体の複数の学芸員に聞いたところ、書の真贋を判断する手順としては、まず作品全体を概観し、書風や筆遣い、筆圧に違和感がないかチェックする。紙質と制作年代に矛盾がないか確認し、落款印が偽印ではないか印影を検証するのが一般的だという。
 前嶋氏をはじめ他の収集家の話では、鉄兜の落款印の真贋を判定する際の一つの基準となるのが大正13年に刊行された印譜集『秀野堂印存』(三宅緑邨編)。鉄兜没後に長男・天瑞(たかのぶ)氏所蔵の260点近い遺印を直接紙に押して100部製本したとされ、数部の現存が確認されている。前嶋氏は昨年3月、「真贋の判断基準に役立てば」と自己の所有する印譜集を基に復刻版を刊行した。
 同館は印譜集及び復刻版の存在を「特別展が始まる直前の11月」に知ったという。「それをさらに検討してしまうと、展示が開催できなくなってしまう」「印譜集に載っていない印が押されているからといって贋作だと断定できない」(担当学芸員)などとして印影の検証は行わず、当初の予定通りに特別展をスタートした。
 前嶋氏によると、特別展で展示された鉄兜関連の作品のうち、確かに真筆と判断できたのは館蔵品と田淵氏所蔵のものを除くと3割に満たず、中には「別人が書いたと一目でわかるものもあった」という。「公的施設でありながら真贋に対する配慮が全くなされていない。このままだと、贋作に『真筆』とのお墨付きを与えることになる」と批判する。
 一方、同館は「所蔵者に作品の出所来歴を確認した上で、鉄兜の作品とされるものをお借りして展示した。当館としては最善の準備を尽くした」と反論。図録の販売を休止したまま、前嶋氏以外に鉄兜の真贋を鑑定できる専門家を探している。
 この問題について、赤穂市文化財保護審議会の木村重圭(しげかず)会長(美術工芸、元甲南女子大学教授)は「美術館として再検証を行う必要がある。ただし、検証結果を公表するかどうかは、所蔵者との関係もあるため、慎重に判断しなければならない」と話している。
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掲載紙面(PDF):
2017年4月8日(2227号) 1面 (20,946,750byte)
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コメント

公的文化施設は本物と偽物を明確に区別するのが原則。

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投稿:天野屋利兵衛 2017年05月07日

大臣が、わざとセンセーショナルな表現で噛みついたのは、民報さんの懸念する有能な人達に向けてではなく、どの組織ににもいる一部の偏った存在を指しているものと思われます。
学芸員の中には、有能でも、偏狭・偏向志向でガンにもなりうる人が多いのかも知れません。
観光活用(地方の美術館の展示などもそうです)に際しては専門的知識を持った人に意見を聞きながら進めなければならないのに、結構それが杜撰で、おかしな事をするという事例を言っているのではないでしょうか?今回の赤穂の美術館の贋作疑惑も関係する事です。

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投稿:質の低下を嘆く発言かと・・・・ 2017年04月17日

 山本幸三・地方創生担当大臣の文化学芸員に関する発言は、発言内容が事実であれば、大変問題のある発言です。学芸員が文化財保護の立場に立つのは当然の責務です。文化財は一旦損傷したり失われたりすると、取り返しのつかない場合もあります。観光活用に際しては学芸員のような専門的知識を持った人に意見を聞きながら進めなければなりません。大臣のような考えを持つ人や、それに賛同する人が存在していることを考えると、学芸員は「一掃」するどころか、「増強」する必要があるのではないでしょうか。
 学芸員の方々には、文化財の価値や活用について、一般の人にもわかりやすく説明できるように知識と技術の研さんに努めてほしいと思います。

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投稿:赤穂民報 2017年04月17日

山本地方創生相「学芸員はがん。一掃を」
〇ttps://mainichi.jp/articles/20170417/k00/00m/010/093000c

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投稿:慢心は、赤穂だけでないようで・・・・ 2017年04月17日

そのような低レベルの事を、大衆の面前に簡単に出してしまうのが赤穂の博物館の学芸員の雰囲気なのです。
この度の、田淵記念館の件が事実であればですがね・・・・
目利きも含めて、自覚して貰い、一層勉強して貰えば今後に活きます。

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投稿:だから、猛省を促す。 2017年04月14日

堺段通を赤穂段通と明示して展示して図録に載せたらあかんやろ。

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投稿:蓼城 2017年04月14日

ことの、きっかけとなれば、この度の美術品の真贋論争も思わぬ効果となるでしょう。

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投稿:上の続き 2017年04月14日

日本においては、佐賀にしろ、堺にしろ、緞通産業自体が、機械織りや安価な安物の輸入物の波におされて衰退しております。
ので、このような事がきっかけとなり、派生的に話題となり、色んな意見が争われることを嬉しく思います。
赤穂の緞通であっても、京都の伝統町屋などでは、堂々と堺とか鍋島で間違われて紹介されているものも多いと聞きます。
まがい物が多いものほど、評価が高いわけで・・・・
是非、地元の赤穂で、赤穂緞通独特な風合いを見抜ける目を養う

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投稿:緞通議論は外れるけど、興味を持つことは良いこと 2017年04月14日

>堺緞通等他産地の製品や日本の綿緞通を模倣して現代中国で作られている
>段通なども「赤穂緞通」と明記して展示し展示品を図録に赤穂緞通の明示して
>掲載することと同じと思います。

と書かれていますが、堺緞通は別に赤穂緞通の贋作ではありませんので、今回のケースの例えにはならないのではないでしょうか。
また、気になったので図書館で図録を見ましたが、収録されている作品に「現代中国で作られている段通」と赤穂緞通ほどの差は私には分かりませんでした。もちろん見る人が見たらわかるのかもしれませんが。専門家の方の話を聞いてみたいです。

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投稿:素人 2017年04月14日

>将来にわたり大きな禍根を残す取り返しの着かない事態
>それと同じことを赤穂市と田淵記念館及び関係者が行った

本当にそう思ってる?
施設は廃止、関係者は処分されたら、気が済むんか?

0  0

投稿:出た出た 2017年04月14日

もっと分かり易く説明しますと、姫路市等近隣の自治体の施設で
赤穂市と関係者に一切協力要請等の事前連絡を行わずに
「赤穂緞通展」を開催して、展示品も所有者や業者の自己申告を
鵜呑みにして赤穂緞通であるかの精査検討を行わずに、
堺緞通等他産地の製品や日本の綿緞通を模倣して現代中国で作られている
段通なども「赤穂緞通」と明記して展示し展示品を図録に赤穂緞通の明示して
掲載することと同じと思います。

もし上記に様な事が実際に行われたら赤穂緞通の伝承に心血を注いでいる
人や多くの赤穂緞通愛好家はどのように思うでしょうね。

それと図録にも赤穂緞通と明示して載せてしまえば
知らない人は図録に掲載されている他産地も緞通や中国製の綿緞通をも
「赤穂緞通」と認識してしまい、将来にわたり大きな禍根を残す
取り返しの着かない事態と思われませんか。

それと同じことを赤穂市と田淵記念館及び関係者が行ったのです。

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投稿:天誅 2017年04月14日

この記事を読む限りの印象は、「所蔵者に作品の出所来歴を確認した上で、鉄兜の作品とされるものをお借りして展示した。当館としては最善の準備を尽くした」と、聞いて、なんや、えらい容易い最善やなって思った。
今まで、公的な美術館の展示は100パーホンモノと信じて見てた私。
今度から、美術館での鑑賞の仕方が変わりました。

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投稿:ホンモノでない場合があるんですね・・・・・ 2017年04月11日

ずっと以前、道路元標なるものを調査研究している人が、民俗資料館に訪ねて来て、「赤穂町の道路元標の所在が分からないが、資料があるか」ということであった。当時の職員が敷地内を整理していた時に、雑草の中に墓石のようなものが転がっているのを見たことを思い出し、一緒に確認して、これが赤穂町の道路元標とわかったということであった。
この話には、続きがあって、花岳寺の門前に「加里屋道路元標跡」なる石碑があるが、道路元標が設置された時代は赤穂町であって「加里屋」ではないはず。また、坂越、尾崎、塩屋、高雄などは村の道路元標と刻されて、それぞれしかるべきところに現存しているのに、赤穂町のものだけが資料館の雑草の中にあるのはなぜか、という話であったそうです。
その研究者の話では、旧町役場辺りにあったものが、昭和30年代の火災で町役場が消失。後日、民俗資料館が開館したので、残っていた町関係のものと一緒に運びこまれ、意味を知る人もなく放置されたのではないか。市が設置したのなら、加里屋道路元標は再調査されてはと話されたと聞きました。歴史的な文化を誇る市にしては、外部の人が疑問に思われることがあるようです。

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投稿:こんなことも聞きました 2017年04月11日

書画骨董の類に真贋の是非など専門家の禅問答に似たり、
礼も無礼も真偽に左右なきところなれば、粛々と対応すべきか。

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投稿:大袈裟 2017年04月09日

解かり易く、赤穂に置き換えると・・・・
郷土の偉人である内蔵助の特別展を、赤穂でもあまり確認したことのない展示物を並べて、お隣の姫路市でやる・・・・・
空気を読み、相手の立場も考えて行動するのがどーーーも赤穂の伝統的欠点と言われかねません。
この一件は、無礼を、きちっとトップがお詫びして、黙って今後に生かすのが武士道と存じます。

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投稿:天狗 2017年04月09日

残念ですね。近隣にこれほどまでの研究、収集家が居られるののを知らないで「特別展」を開催するのは、物笑いになっただけではすまないように思います。館の意識の低さのみならず、町の文化の質も問われかねないことのように思います。姫路市では文化財課が、市に関連する文化財などについて、しっかりしたものを持っておられるようで、感心しました。
以前から、美術工芸館田淵記念館では、真贋の明らかでないものでも、「伝**」とキャプションに表記して展示しているようで、あまり、本物かどうかに拘らない体質があるのでしょう。

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投稿:赤穂の博物館のあり方への抗議かも 2017年04月09日

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