害虫飼育20年 本にまとめて好評
2018年12月01日
『きらいになれない害虫図鑑』を刊行した有吉立さん
世界最大級の研究所で飼育員として勤務してきた経験を基に、虫たちの意外な生態や飼育の苦労などを親しみやすい文章で紹介している。
有吉さんは「ごきぶりホイホイ」「アースジェット」など虫ケア用品を製造販売する同社に平成10年入社。坂越工場にある研究所で製品開発や研究実験のために必要な害虫の飼育を担当して20年になる。
3年ほど前に週刊誌の取材で来社した出版企画会社の担当者が「本にしたい」と提案。「読んでもらえるような本になるのかしら」(有吉さん)と不安もあったが、会社の後押しもあり、出版を決めた。
「虫嫌いな人にも手に取ってもらえるように」と写真は一枚も使わず、アリ、カメムシ、ナメクジなど約20種類をユーモラスなイラストで紹介。有吉さん本人のトークを聞いているように読みやすい。部屋の匂いだけでそこにいるゴキブリの種類を当てられる"特技,,や飼育したウジ虫がテレビドラマに"出演,,したエピソードなどユニークな話題が次々と登場する。
赤穂高校では文系で東京の美術系専門学校を卒業。今の仕事とはまったく縁のない経歴で、しかも「もともとは、見ただけで悲鳴を上げるほど虫が苦手」だった。地元に戻って定職を探していたとき、「研究に使う虫の飼育」という同社の求人広告をたまたま目にし、「条件の良さと会社のネームバリューにひかれて」就職したものの、最初の頃は食事が喉を通らず、夢でうなされた。それでも、観察して生態を知るうちに「恐怖心とか偏見はなくなっていった」という。
今年7月に初版6000部を刊行し、約1週間後には重版が決定。すでに3刷まで重ね、さらに増刷される見込みという。読者から「虫が嫌いだったけど、この本を読んで見方が変わった」という感想も届いた。
「害虫たちの素顔を知ってもらえるきっかけになればうれしい」と有吉さん。最近は虫たちの眼や羽などの色や形の美しさにひかれているといい、「機会があれば写真集を出してみたい」と話している。
四六判150ページ。幻冬舎から1200円(税別)。
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掲載紙面(PDF):
2018年12月1日(2303号) 4面 (9,390,988byte)
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[ 社会 ]
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投稿:TenYou 2018年12月01日コメントを書く