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関福大リレーコラム・眠育のススメ

 2019年06月22日 
 「夜、なかなか寝つけない」「よく眠れないことがある」「朝起きられない」など、睡眠の悩みを訴える子どもが増えています。生活の夜型化の進行に加え、塾や習い事で帰宅時刻が遅くなること、寝る直前のスマホ使用が睡眠を妨げる原因になっているようです。
 睡眠不足は意欲や集中力の低下、授業中の居眠りを招き、長期的には学業成績の不振をもたらすことが、岡山市の中学生を対象として行った調査(服部ら:2010)で明らかとなりました。子どもの遅刻や欠席の背景に睡眠リズムの乱れがあることは、教育現場の共通認識の一つになっています。
 そうした現状を打開しようと、睡眠の大切さを伝える「眠育」が広がっています。大阪府堺市のある中学校の事例では、実態調査の結果、長期欠席者約30名のうちの8割以上が「就寝が0時過ぎ」「時刻がバラバラ」であることが判明しました。2015年度からは、約550人の生徒全員に睡眠時間を2週間、年間6回記録させ、教員がチェック。三者面談で保護者の帰宅が遅くても、子どもは先に寝かせるなどの指導を展開したそうです。眠育を続けるこの中学校では、アンケートで「授業中は学習に集中している」と答える生徒が3年間で10ポイント増加するとともに、不登校の生徒が減少したことが報告されています。
 この地域では、眠育を市内の小中学校だけではなく幼稚園・保育所にも広げ、毎月10日を「はよねるデー」として小学校は宿題なし、中学校は部活なし。午後8時45分には「早く寝ましょう」と保護者に一斉メールが届くそうです。PTAと協力して眠育のハンドブックや絵本の出版もなされました。家庭単独での取り組みは難しくても、学校や教育委員会が中心となって積極的に情報発信し、子どもの健康行動の定着を後押しすることの有効性を示唆しています。
 ところで、今日本では「働き方改革」が推進されようとしています。よく休むことはよく働くことであり、よく生きることでもあると思います。子どもも大人も同じではないでしょうか。(服部伸一・教育学部教授)
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掲載紙面(PDF):
2019年6月22日号(2329号) 3面 (13,823,485byte)
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