山鹿素行のお話(5)素行先生による武士道等の教え(その一)
2019年08月10日
承応3年(1654年)5月、素行は赤穂を船で出発して大阪へ向かい、それから伏見へ出て帰途は東山道を通って江戸に帰省しました。
この旅の道中の地理や古戦場、詩作を書き留めたものをそれぞれ『海道日記』と『東山道日記』として著作しており、素行にとってはこの9か月に及ぶ見聞は大きな刺激となったようで、その後『修教要録』10冊、『治教要録』31巻、『武教小学』1冊、『武教全書』8冊、『兵法或問』7冊の他、多数の名書を著しました。その総量は膨大で数千枚にもなりました。
この中の『武教小学』は、徳川の幕藩体制が堅実になり戦のない世の中となった中、怠惰な生活に陥りがちな侍たちに武士としての誇りを持たせ、農工商三民の手本となるような生活規範を鼓舞したものです。
その詳しい内容は、山鹿素行研究会の榊努氏が機関紙『至道第3号』に掲載していますので省略しますが、(1)早寝早起き(2)人との会話時の言葉遣い(3)外出時の身なりふるまい(4)衣食住の基本(5)飲食や男女の欲情(6)財産管理(7)金銭の貸し借りや贈与(8)狩猟による運動と地形の調査(9)家長としてのふるまい(10)子供への教育等10項目について素行の門弟たちが素行の言動を基に著したものであり、この考えは現代社会に生きる我々にも十分通じるもので、私など凡人はこの十訓を見る度に反省と自戒の念をただただ募らすのみであります。
素行が37歳になった万治元年(1658年)、面白いことには松浦鎮信らの興味本位もあり、江戸本郷の天沢寺(春日局が建立)で隠元禅師と引き合わされ禅問答をします。隠元はこの時68歳と素行に比べはるかに高齢であり、その道の達人でもあることから、分の悪い素行は慇懃無礼な態度で禅問答を自分から仕掛け、隠元を煙に巻き面目を保ちましたが、隠元の臨済禅に魅力を感じた素行はこの後2年程隠元禅師に師事しています。
そうして万治2年、忠臣蔵の主人公大石内蔵助良雄が播州赤穂で誕生し、歴史の歯車がまた大きく動き出します。
掲載紙面(PDF):
2019年8月10日号(2336号) 1面 (6,139,208byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
この旅の道中の地理や古戦場、詩作を書き留めたものをそれぞれ『海道日記』と『東山道日記』として著作しており、素行にとってはこの9か月に及ぶ見聞は大きな刺激となったようで、その後『修教要録』10冊、『治教要録』31巻、『武教小学』1冊、『武教全書』8冊、『兵法或問』7冊の他、多数の名書を著しました。その総量は膨大で数千枚にもなりました。
この中の『武教小学』は、徳川の幕藩体制が堅実になり戦のない世の中となった中、怠惰な生活に陥りがちな侍たちに武士としての誇りを持たせ、農工商三民の手本となるような生活規範を鼓舞したものです。
その詳しい内容は、山鹿素行研究会の榊努氏が機関紙『至道第3号』に掲載していますので省略しますが、(1)早寝早起き(2)人との会話時の言葉遣い(3)外出時の身なりふるまい(4)衣食住の基本(5)飲食や男女の欲情(6)財産管理(7)金銭の貸し借りや贈与(8)狩猟による運動と地形の調査(9)家長としてのふるまい(10)子供への教育等10項目について素行の門弟たちが素行の言動を基に著したものであり、この考えは現代社会に生きる我々にも十分通じるもので、私など凡人はこの十訓を見る度に反省と自戒の念をただただ募らすのみであります。
素行が37歳になった万治元年(1658年)、面白いことには松浦鎮信らの興味本位もあり、江戸本郷の天沢寺(春日局が建立)で隠元禅師と引き合わされ禅問答をします。隠元はこの時68歳と素行に比べはるかに高齢であり、その道の達人でもあることから、分の悪い素行は慇懃無礼な態度で禅問答を自分から仕掛け、隠元を煙に巻き面目を保ちましたが、隠元の臨済禅に魅力を感じた素行はこの後2年程隠元禅師に師事しています。
そうして万治2年、忠臣蔵の主人公大石内蔵助良雄が播州赤穂で誕生し、歴史の歯車がまた大きく動き出します。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2019年8月10日号(2336号) 1面 (6,139,208byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
心を贈る絵手紙展 [ 文化・歴史 ] 2013年04月05日樫本大進さん寄贈の楽器で発表会 「風」テーマにグループ写真展 [ 文化・歴史 ] 2013年03月29日収蔵の埴輪片を宮内庁が調査 [ 文化・歴史 ] 2013年03月28日和歌など流麗に「かな書道展」 [ 文化・歴史 ] 2013年03月18日平井正年の天井画が里帰り [ 文化・歴史 ] 2013年03月17日坂越出身の日本画家が絵本 [ 文化・歴史 ] 2013年03月16日若手演奏家がオペラ歌唱 [ 文化・歴史 ] 2013年03月16日第9回「怒りの川柳」入賞作 [ 文化・歴史 ] 2013年03月14日「故郷」テーマにフォト会員展 [ 文化・歴史 ] 2013年03月08日25回目迎える「女・女・女展」 [ 文化・歴史 ] 2013年03月02日講演会「赤穂事件と柳沢吉保」 [ 文化・歴史 ] 2013年03月01日江戸から昭和の「お雛さま」展 [ 文化・歴史 ] 2013年02月25日繊細な和紙の美、ちぎり絵展 [ 文化・歴史 ] 2013年02月22日豪州遠征へオペレッタ稽古
コメントを書く