《西有年産廃》事前協議書 赤穂市と上郡町へ送付
2020年06月04日
赤穂市をはじめ4自治体が飲料水を得ている千種川水系・梨ヶ原川の上流部で進められようとしている西有年の産業廃棄物管理型最終処分場建設計画について、許可権を持つ兵庫県は3日付けで赤穂市と上郡町にのみ事前協議書を送付した。
事前協議の対象に千種川を水道水源とする相生市と姫路市家島町を加えるべきと県へ要望していた牟礼正稔市長の意見は現段階では見送られた形。「事前協議書の内容を十分精査した上で、適切に対応していく」とだけコメントした。
産廃処分場を建設するには、国の法律に基づき地元知事の許可を得る必要がある。兵庫県では法律手続きに入る前のステップで計画の縦覧と関係住民への説明会を実施するよう県条例で事業者に義務付けている。
事前協議書は、県条例手続きのさらに前段階に事業者があらかじめ県へ提出するもの。県は書類を確認した上で関係市町へ送付し、説明会を実施する対象範囲や生活環境保全上の措置などについて意見を聴取する。回答期限は特に設けられていない。事業者は県を経由して伝えられた意見を踏まえ、県条例手続きに必要な「事業計画書」を整える。
牟礼市長は昨年5月、同計画についての県からの意見照会に対し、「本市が目指す環境保全に向けた基本姿勢と相反するものであり、到底認められるものではない」と明確に反対の意思を表明。事前協議と事業計画説明を実施すべき対象に相生市と姫路市家島町を加えるべきとも具申したが、その意見は取り入れられなかった。
また、事業者の東洋開発工業所(大阪府豊能町)は昨年2月から7月にかけて、自社が所有する建設予定地の山林約4500平方メートルを無届けで伐採。赤穂市の告発を受け、赤穂署が今年3月に会社と社長代理を森林法違反容疑で書類送検した。さらに、同月中に新たな無届け伐採が見つかり、市が被疑者不詳で告発。6月4日時点で検察の判断は確認されておらず、赤穂市と同社の関係は「告発人」と「被疑者」のままだ。
県によると、事前協議書を事業者から受理したのは2018年4月。このタイミングで関係市町へ送付した理由について、「無届け伐採に対する地元市町の指導が完了し、市民団体との意見交換も4月までに行った。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されるまで送付を控えていたが、書類の形式が整っている以上、これ以上先延ばしできない」(吉村陽・西播磨県民局環境参事)と説明した。
同社は赤穂民報の取材に、「赤穂市との間で刑事係争中であっても、計画の手続きを進めることは問題ないと県から判断をもらっている。どのような意見が関係市町から出されるかを待ちたい」と話した。関係者の談話は次のとおり。
▽牟礼正稔赤穂市長=「事前協議書の内容を十分精査した上で、適切に対応していく」
▽遠山寛・上郡町長=「計画に反対されている住民の方も多く、また不安に思っておられる方も多いことは十分に理解している。慎重に検討し、不安が広がらないよう、適正に処理していきたい」
▽赤穂市民の会・沖知道会長=「今後も引き続き『計画反対』の立場で許可権を持つ兵庫県と協議の場を持っていく」
▽上郡産廃問題対策協議会=「再告発も含めて法的、行政的決着がつくまでは手続きを止めるべきで、意見照会が行われたことは遺憾だ。県民局長は昨夏の話し合いで『赤穂の件が決着するまで下ろさない(照会をしない)』とわれわれ住民の前で言い切ったことを思い出してほしい」
関連サイト:
【関連記事】事業者と社長代理を書類送検
【関連記事】「到底認められない」「論外」市が県に意見
掲載紙面(PDF):
2020年6月6日(2373号) 1面 (9,147,827byte)
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事前協議の対象に千種川を水道水源とする相生市と姫路市家島町を加えるべきと県へ要望していた牟礼正稔市長の意見は現段階では見送られた形。「事前協議書の内容を十分精査した上で、適切に対応していく」とだけコメントした。
産廃処分場を建設するには、国の法律に基づき地元知事の許可を得る必要がある。兵庫県では法律手続きに入る前のステップで計画の縦覧と関係住民への説明会を実施するよう県条例で事業者に義務付けている。
事前協議書は、県条例手続きのさらに前段階に事業者があらかじめ県へ提出するもの。県は書類を確認した上で関係市町へ送付し、説明会を実施する対象範囲や生活環境保全上の措置などについて意見を聴取する。回答期限は特に設けられていない。事業者は県を経由して伝えられた意見を踏まえ、県条例手続きに必要な「事業計画書」を整える。
牟礼市長は昨年5月、同計画についての県からの意見照会に対し、「本市が目指す環境保全に向けた基本姿勢と相反するものであり、到底認められるものではない」と明確に反対の意思を表明。事前協議と事業計画説明を実施すべき対象に相生市と姫路市家島町を加えるべきとも具申したが、その意見は取り入れられなかった。
また、事業者の東洋開発工業所(大阪府豊能町)は昨年2月から7月にかけて、自社が所有する建設予定地の山林約4500平方メートルを無届けで伐採。赤穂市の告発を受け、赤穂署が今年3月に会社と社長代理を森林法違反容疑で書類送検した。さらに、同月中に新たな無届け伐採が見つかり、市が被疑者不詳で告発。6月4日時点で検察の判断は確認されておらず、赤穂市と同社の関係は「告発人」と「被疑者」のままだ。
県によると、事前協議書を事業者から受理したのは2018年4月。このタイミングで関係市町へ送付した理由について、「無届け伐採に対する地元市町の指導が完了し、市民団体との意見交換も4月までに行った。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されるまで送付を控えていたが、書類の形式が整っている以上、これ以上先延ばしできない」(吉村陽・西播磨県民局環境参事)と説明した。
同社は赤穂民報の取材に、「赤穂市との間で刑事係争中であっても、計画の手続きを進めることは問題ないと県から判断をもらっている。どのような意見が関係市町から出されるかを待ちたい」と話した。関係者の談話は次のとおり。
▽牟礼正稔赤穂市長=「事前協議書の内容を十分精査した上で、適切に対応していく」
▽遠山寛・上郡町長=「計画に反対されている住民の方も多く、また不安に思っておられる方も多いことは十分に理解している。慎重に検討し、不安が広がらないよう、適正に処理していきたい」
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▽上郡産廃問題対策協議会=「再告発も含めて法的、行政的決着がつくまでは手続きを止めるべきで、意見照会が行われたことは遺憾だ。県民局長は昨夏の話し合いで『赤穂の件が決着するまで下ろさない(照会をしない)』とわれわれ住民の前で言い切ったことを思い出してほしい」
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投稿:赤穂市民 2020年06月07日0 0
投稿:法律通りの役所仕事 2020年06月05日コメントを書く