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関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(1)しっかりと噛むことが大切

 2020年11月21日 
 4回のシリーズで、食べる=生きる土台、として食育に関する投稿をいたします。
 人間は、この世に生を受けて数時間後には、食べること(正確には乳汁を飲む)が始まります。そして、生後5か月からは、ようやく人間らしくなるための咀嚼の訓練が始まります。1歳6か月までの離乳食の完了をむかえるまで、少しずつ少しずつ咀嚼訓練を重ね、咀嚼能力を高めることで成人のように固形のものが食べれるようになるのです。
 現在、子どもたちの間に咀嚼の問題が多いとよく耳にします。咀嚼がしっかりできないと、
(1)唾液の分泌が少ないことから、虫歯になりやすくなります。また、唾液の量が少ないため塩分濃度が濃いままで味覚を感じ、濃い味付けを好むようになります。
(2)噛まないで早食い・丸のみは、血糖が満腹中枢を刺激するまで食べたいという欲求から、食べすぎてしまいます。そこから肥満となり、生活習慣病につながります。これらのことから、生まれて間もない乳幼児期の咀嚼は将来の健康に影響を与えます。
 なぜ咀嚼能力が備わらないのか……。幼少児の子育てを体験された方には覚えがあると思うのですが、子どものペースで食事をさせるとなると、保護者のゆったりとした気分と時間が必要となります。しかし昨今では、慌ただしい毎日を過ごされていることが多いように思います。保護者の口癖に「早くしなさい」が目立つようになっています。
 まだ、この世に生を受けて1年もたたない乳児に「早くしなさい」と直接言うことはなくても「食事の片づけを早くしたいな」「早く次のことを…」と思う気持ちがあるようです。その気持ちが、まだ子どもの口のなかに食べ物が入っているにもかかわらず次のスプーンを口の前に出してしまうのです。子どもは、早く食べさせたい保護者のペースになり、ついつい噛まずに飲み込んでしまいます。
 保護者のゆったりとした気持ちが、子どもの将来の健康につながると考えると、子どもとのかかわり方を見直すきっかけになりませんか。(教育学部児童教育学科准教授・廣陽子)
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掲載紙面(PDF):
2020年11月21日号(2393号) 2面 (9,473,567byte)
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