周世の市処分場 通行権巡りトラブル
2020年12月05日
通行権を巡り赤穂市と地権者との間でトラブルとなっている廃棄物処分場の進入路。画面左側が事業者が拡張工事を進めている残土処分場
処分場は相生との市境に近い山の頂上付近にあり、1984年に竣工。市美化センターから排出される焼却灰と再資源化できない不燃物を2037年度末まで埋立処分する予定となっている。市によると、処分場にトラックで廃棄物を搬入できるルートは、森林組合が開設した林道を市が拡幅舗装して整備した進入路以外に今のところなく、平日は毎日4トン車で「少なくとも5台程度」が往来しているという。
一帯の山林は複数の地権者が所有していたが、麓で残土処分場を運営する市内事業者の実質的経営者が処分場の拡張を目的に買収。買収した土地に進入路も含まれる。
事業者側は「山林内には十全な水路が整備されていないことから、大雨・長雨が続いた場合に土砂崩れ等の災害発生が懸念されている」などとして今年6月、これまでに市が進入路沿いに整備している幅30センチの側溝を、より大きな水路に拡充するよう市に申し入れた。事業者側は必要に応じて土地を提供する用意もあったというが、市に工事を行う意思がないことから、自社で施工する計画を市に連絡。互いに弁護士を通じて協議の場を持ったが、市は「工事が実施されれば、車両の通行が不可能または著しく困難になる」として、進入路を通行する権利を保全するための仮処分命令を7月30日付けで神戸地裁姫路支部へ申し立てた。
進入路の道幅は最も狭い箇所では約4メートルで、市は「(水路の開設によって)トラックの通行が不可能または著しく困難になることは明らか。市内で毎日発生する廃棄物を別の場所に保管せざるを得なくなり、公共に対する著しい不利益が生じる」などと主張。「協議しても、合意できなければ工事が開始されてしまう。たちまちトラックが通行できなくなる」として仮処分の正当性を訴えている。
一方、事業者は「あくまで協議の場を持つことを求めていたのに、突然の申立ては遺憾。協議を頑なに拒む市の姿勢は疑問というほかない」と市の対応に不満を表し、「治水対策をしないまま、土砂崩れなどで林道が崩落するなどして通行不能になってしまう可能性についてどう考えているのか」などと疑問を投げかけている。
また、進入路を通行する権利(通行地役権)を巡っては、森林組合との間で「期間の定めのない通行地役権」が設定されているとする市に対し、事業者側は市と森林組合の間で交わされた林道利用証の契約期間が「昭和62年2月7日」までとなっており、「契約が有効に成立していると解する余地はない」と指摘。それに対し、市が「竣工から20年後の2004年に通行地役権を時効により取得している」と反論するなど対立している。
今のところ、事業者は施工を保留しており、車両は支障なく通行できている。市は申立てに必要な弁護士費用として40万円を今年度一般会計補正予算案に計上。裁判所の判断は年内にも下される見通しだ。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2020年12月5日号(2395号) 1面 (8,051,654byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
「安全・安心なまちづくり」へ市民大会 [ 社会 ] 2017年11月25日播磨自然高原 県境越えて自治会発足 [ 社会 ] 2017年11月24日災害時の入院食確保へ連携訓練 [ 社会 ] 2017年11月22日健康寿命延ばす秘訣は「口の健康」 [ 社会 ] 2017年11月21日西豪州首相が赤穂市を表敬訪問 [ 社会 ] 2017年11月19日暴力追放市民大会24日開催 市民健康講座 74人に修了証 [ 社会 ] 2017年11月16日核兵器禁止条約「政府は批准を」市議会へ陳情 [ 社会 ] 2017年11月14日セキスイハイム山陽が防犯協定 [ 社会 ] 2017年11月13日「スウィーツ甲子園」へ赤穂塩ラスク 「アンデスの妖精」アルパカ誕生 [ 社会 ] 2017年11月06日11月は児童虐待防止推進月間 教専寺で十五世へ継職法要 [ 社会 ] 2017年11月03日幼小中合同で津波避難訓練 姉妹都市交流へ訪問団が結団式 [ 社会 ] 2017年10月31日
コメント
7 0
投稿:住民 2020年12月08日6 0
投稿:おかしい 2020年12月08日9 0
投稿:おっさん 2020年12月07日8 0
投稿:疑問 2020年12月07日11 0
投稿:行政を見守る男 2020年12月07日コメントを書く