《西有年産廃》「申請に疑念」有識者会議が意見書
2021年02月13日
西有年産業廃棄物最終処分場建設計画の事前協議書について議論した上郡町の有識者会議(座長=山村充・兵庫県立大学環境人間学部教授)が「意見書」をまとめ、4日に遠山寛町長に提出した。
周知範囲や生活環境保全上の措置などについて町に助言しつつ、事前協議書について「疑念の声があった」などと疑義を指摘する内容も盛り込まれた。
有識者会議は、兵庫県から事前協議書に対する意見照会を受けた遠山町長が回答への助言を求めるために設置。環境、水処理などの専門家に住民代表を加えた6人が昨年7月から11月にかけて3回にわたり協議した。
意見書では、計画の「周知範囲」について「施設の建設・運営に伴い、不利益を被る可能性のある住民」とした上で、▽放流水による影響が考えられる千種川の支流周辺地域▽収集運搬経路として利用される主要道路の周辺地域▽下流域で井戸水を活用する者、河川を活用する農業・漁業関係者―などを挙げた。具体的な支流周辺地域として「環境影響評価の結果が提出されていない現時点において」とことわった上で、「論気上池、論気下池、論気川、梨ヶ原川、安室川」とした。
「生活環境保全上の措置」については、▽周辺住民や町がいつでも確認できるモニタリング(監視)体制▽遮水シートの破損を検知できる漏水検知システムの設置▽過去の実績値だけでなく将来を見据えた安全な浸出水調整槽の容量設計▽詳細な環境影響評価の実施―などを事業者に求めるよう提案した。
「関係法令手続き」に関しては、「有識者会議では、本件申請について疑念の声があった」とし、座長代理の藤田和也委員(弁護士)が論点を整理した「別紙」を添付。事業者が廃棄物業務経験を持たず、事前協議書提出後に計画地で森林法違反行為があったことなどを指摘した上で、「直ちに環境保全の配慮を尽くすことや、的確・継続的に建設・運営し得る能力を具備する期待を持てない」と適格性を疑問視した。また、事業者の許可取得後に大手産廃業者が処分場の建設・運営を行う予定があることを前提に、「現在の事前協議申請書は虚偽というほかない」「禁止された名義貸しの一種」などと踏み込んだ。
町議会事務局によると、意見書は5日の民生建設常任委員会で別紙を除いて報告された。井口勝智委員長は赤穂民報の取材に「別紙は『個人的な見解』とのことだったので、委員会前の打ち合わせで省いた。委員からも異論はなかった」と別紙を配布しなかった理由を説明した。一方、有識者会議の事務局(町住民課)は「別紙は意見書と一体のものと認識している」とした。
次回の委員会は2月16日(火)に開かれ、有識者会議の意見書を踏まえた遠山町長の回答案が示される予定となっている。
▼山村座長の談話=「別紙は『そもそも論』的な内容のため、別添とせざるを得なかったが、基本的に意見書と一体のものと理解している。少なくとも私の目から見ても非常に重要と判断して意見書に入れることを決めたのであり、少数意見というわけではない」
関連サイト:
【関連記事】意見書案協議も「打ち切り」
掲載紙面(PDF):
2021年2月13日号(2404号) 2面 (4,542,088byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
周知範囲や生活環境保全上の措置などについて町に助言しつつ、事前協議書について「疑念の声があった」などと疑義を指摘する内容も盛り込まれた。
有識者会議は、兵庫県から事前協議書に対する意見照会を受けた遠山町長が回答への助言を求めるために設置。環境、水処理などの専門家に住民代表を加えた6人が昨年7月から11月にかけて3回にわたり協議した。
意見書では、計画の「周知範囲」について「施設の建設・運営に伴い、不利益を被る可能性のある住民」とした上で、▽放流水による影響が考えられる千種川の支流周辺地域▽収集運搬経路として利用される主要道路の周辺地域▽下流域で井戸水を活用する者、河川を活用する農業・漁業関係者―などを挙げた。具体的な支流周辺地域として「環境影響評価の結果が提出されていない現時点において」とことわった上で、「論気上池、論気下池、論気川、梨ヶ原川、安室川」とした。
「生活環境保全上の措置」については、▽周辺住民や町がいつでも確認できるモニタリング(監視)体制▽遮水シートの破損を検知できる漏水検知システムの設置▽過去の実績値だけでなく将来を見据えた安全な浸出水調整槽の容量設計▽詳細な環境影響評価の実施―などを事業者に求めるよう提案した。
「関係法令手続き」に関しては、「有識者会議では、本件申請について疑念の声があった」とし、座長代理の藤田和也委員(弁護士)が論点を整理した「別紙」を添付。事業者が廃棄物業務経験を持たず、事前協議書提出後に計画地で森林法違反行為があったことなどを指摘した上で、「直ちに環境保全の配慮を尽くすことや、的確・継続的に建設・運営し得る能力を具備する期待を持てない」と適格性を疑問視した。また、事業者の許可取得後に大手産廃業者が処分場の建設・運営を行う予定があることを前提に、「現在の事前協議申請書は虚偽というほかない」「禁止された名義貸しの一種」などと踏み込んだ。
町議会事務局によると、意見書は5日の民生建設常任委員会で別紙を除いて報告された。井口勝智委員長は赤穂民報の取材に「別紙は『個人的な見解』とのことだったので、委員会前の打ち合わせで省いた。委員からも異論はなかった」と別紙を配布しなかった理由を説明した。一方、有識者会議の事務局(町住民課)は「別紙は意見書と一体のものと認識している」とした。
次回の委員会は2月16日(火)に開かれ、有識者会議の意見書を踏まえた遠山町長の回答案が示される予定となっている。
▼山村座長の談話=「別紙は『そもそも論』的な内容のため、別添とせざるを得なかったが、基本的に意見書と一体のものと理解している。少なくとも私の目から見ても非常に重要と判断して意見書に入れることを決めたのであり、少数意見というわけではない」
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投稿:上郡町在住60代男 2021年02月13日コメントを書く