景観重要建築物を蔵カフェ、フリースペースに再生へ
2021年11月16日
市街地景観重要建築物をフリースペースやカフェとして再生しようと取り組む濱尾萌夏さん。手前は古箪笥をリメイクしたカウンター
濱尾家住宅は赤穂城下町の武家地内に位置する入母屋造りの木造瓦葺き2階建て家屋で、明治中期の建築と推定される。1階に武家屋敷の特徴を持つ式台や舞良戸(まいらど)、2階には虫籠窓があり、「かつての武家地という地域性を象徴する要素として貴重」として、1998年に市街地景観重要建築物に指定された。
「古いものを大切に残しつつ、新たな未来に再生したい」と話すのは岡山市の濱尾萌夏さん(27)=岡山市=。濱尾家住宅は祖父の生家で、萌夏さんも幼い頃、正月や盆になると帰省した。しかし、祖父母が他界して以降は法事のときだけ集まる空き家となり、老朽化が進行していたという。
萌夏さんは東京の大学で空間デザインを学び、卒業後はディスプレイ業界でテーマパークや展示パビリオンなどの仕事に関わった経験を持つ。希望して就いた仕事ではあったものの、期限が来ればせっかく手掛けた構造物を取り壊さなければならないことにむなしさを感じて退職。一昨年5月からワーキングホリデーで滞在したオーストラリアで、何気ない日常を幸せに楽しむ現地の人たちの暮らしぶりから、慣れ親しんだ自然や歴史を積み重ねたものを大切にする素晴らしさに気付かされたという。
「古い記憶が受け継がれてきた、おじいちゃんとおばあちゃんの家を再生したい」と父の壽一さんを説得し、古民家の改修活用に詳しい専門家にアドバイスを求めた。耐震化などの条件を満たせば兵庫県と赤穂市から最大1000万円の補助が受けられることがわかり、具体的な改修計画がまとまった。
母屋は1階を展示イベントなどに活用するフリースペース、2階は「赤穂山鹿素行研究会」の協力で武士道をテーマに資料を展示する。蔵はテラス席もあるカフェに再生。離れの建物は厨房設備の導入も可能な貸し店舗としてリニューアルする。梁や柱など使える部材はできるだけ活かす一方、古くて壊れかけた古箪笥はカフェのカウンターに、建具はトイレの扉に生まれ変わらせた。
今年7月に着工し、来年3月に完成する予定。「昔と同じに戻すのではなく、今の時代に合わせた新しい形として再び使っていく。過去と未来をつなぐことを心掛けたい」と萌夏さん。「自分自身、今回の取り組みで日本の伝統的建築の素晴らしさを初めて知った。この家を活用していくことが若い世代にも興味を持ってもらうきっかけになったらうれしい」と話している。
クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で11月22日まで改修資金の支援を募集中。オープン後にカフェで利用できるドリンクチケットなどが返礼品に贈られる。
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関連サイト:
■旧武家屋敷を保存しながら、記憶が紡がれるカフェや武士道博物館に「再生」したい!(外部サイトへリンク)
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2021年11月20日号(2439号) 1面 (6,303,575byte)
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コメント
どんな風に生まれ変わるのか、楽しみです♪
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投稿:スカイ 2021年11月17日コメントを書く