藩主家の業績たどる特別展「浅野家とその時代」
2021年11月27日
赤穂市立歴史博物館で開催中の特別展「浅野家とその時代」
赤穂藩浅野家は正保2年(1645)に長直が常陸国笠間から赤穂に転封。赤穂郡全域と加西、加東、佐用郡の一部の合計5万3500石余りを有する領主となった。長友の跡を継いだ長矩が元禄14年(1701)に江戸城で刃傷事件を起こして改易となるまで56年間にわたり赤穂を治め、前領主の池田家が築いた城地を大幅に拡張して築城と城下町整備を行ったほか、海浜埋め立てで130町歩に及ぶ入浜式塩田や約95町歩の新田を開発。現在につながる赤穂の基礎を築いた。
本展では長直、長友、長矩が叙任された際の口宣案、三代の坐像(市指定文化財)、家臣名簿の分限帳など68点を展示。「正保播磨国郷帳」は寛永検地(1625)の村高を記載したもので、領地全体の石高は約5万3897石と記している。「赤穂郡佐用郡御年貢納帳」は年貢の収入簿で加里屋組、新田組など大庄屋ごとに明細があり、当時の税率がおおむね6割だったことがわかる。
「湖山常清公行実并哀辞」は長直の功績を顕彰するために山鹿素行が自筆した哀悼の辞。「穏やかで包容力があり、心が広くゆったりしている」と人柄を偲び、大名の職務として火消番や大坂城番、朝鮮通信使の饗応役や禁裏御所の造営を勤めたほか、領地では築城や塩田開発を成し遂げ、城下と中村・尾崎に初めて橋を架けたことなど業績を称えている。
同館学芸員の木曽こころ係長によると、本展で展示されている作製年代の異なる複数の絵図でも塩田や橋、街道が整備されていった過程が見て取れるといい、「赤穂の礎を築いた浅野家の業績や当時の村々の様子を資料を通して考える機会になれば」と話している。
入館料300円(小・中学生150円)。午前9時〜午後5時(入館は4時半まで)。水曜と12月28〜31日、1月1、4日は休館。図録は1部1300円。Tel43・4600。
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掲載紙面(PDF):
2021年11月27日号(2440号) 1面 (7,545,381byte)
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