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関福大リレーコラム・めざせ! さかなクン

 2022年12月03日 
 かつて炭坑夫はカナリアが入った籠を持って坑道を進みました。カナリアは有毒なガスなどを敏感に察知し、その危険を知らせました。


 私たちの社会で、子どもがそのカナリアの働きをしてくれていると言われています。社会的に弱い存在である子どもの状況に社会の抱える問題が映されるからです。

 今、警鐘が鳴らされている課題があります。約24・5万人(前年度より約5万人増)。令和3年度の小中学校の不登校数です。その約半数が、理由に「怠惰等」をあげています。学校での学びに意味を見いだせていない子どもが急激に増加しているのです。まさに、「学びからの逃走」と言えます。

 そもそも子どもは学ぶことが大好き。「なんで?」という好奇心の塊です。成長とともにゆるやかに失われていたものが、早期から急激かつ加速度的に進行している状況です。

 さまざまな要因が複雑にからみ合っているのでしょうが、私たちにできる対処法を探していかなければなりません。その一つは「さかなクン」が示してくれているように思えます。

 「好きこそものの上手なれ」といいます。自分の興味・関心に応じて、知的好奇心を働かせ没頭する活動、すなわち探究の醍醐味を味わわせることが求められます。試行錯誤しながら、わかった!できた!でも、もっとわかりたい!もっと上手になりたい!などの達成感と意欲を持たせたいのです。

 学校の授業もそのような考えを取り入れ一人一人に応じた学習(個別最適な学び)を大切にしようと改善が進められています。全力でチャレンジするわくわく感とさまざまな人・モノ・コトとの出会いが子どもの心を豊かにしなやかに育て、学びへと向かわせてくれます。

 その礎には「自分を認めてくれる」という安心感と「自分の話を聴いてくれる」という信頼感を満たしてくれる場が必要です。「義を継承する赤穂」であるからこそ、町全体をそのような空間にできるのではないかと思います。(山口偉一・教職センター教授)
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掲載紙面(PDF):
2022年12月3日号(2486号) 3面 (10,427,489byte)
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