飼い主のいない猫、いわゆる野良猫に餌をあげている人のことを猫業界では「餌やり」と呼ぶようです。


　そして餌やりさんには「マナーのいい餌やり」と「マナーの悪い餌やり」がいます。

　つい最近のこと。知り合いの餌やりさんから、「私が餌をあげている場所に、赤穂市が作成した『無責任に餌を与えない』という文言の看板が貼られている。きちんと不妊手術をして繁殖しない地域猫だと説明して欲しい」と、連絡を受けました。

　その場所は、私たちが実施したクラウドファンディングの寄付金を使用し、今年の２月にTNR（野良猫の不妊手術）を実施した場所でした。もちろんその餌やりさんは「この猫たちの不妊手術費用に」と、寄付もしてくださいました。

　仕事休みの週末、朝日が昇る前に餌やりさんと待ち合わせをし、餌やりの状況と看板を確認しに現場に行ってみました。ところが、その餌やりさんは餌をばら撒くようなことはせず、残飯が残っていないかきちんと確認してから帰られているため、周辺を汚すようなことはしていなかったのです。糞も見つけた時は拾うようにしているとのこと。（そこは公共の場所のため勝手に野良猫用のトイレを設置するわけにもいきません）

　うーん…。こんなふうに配慮して餌やりをしていても赤穂では地域猫という存在は許してもらえないのかな…。全国的には随分と認知されているのに…と残念な気持で看板を設置している施設側に話を聞きに行くと、どうやら施設周辺に餌をばら撒き、片付けもせずに残飯を放置したまま帰っていく、マナーの悪い餌やりさんの存在が判明しました。

　それでは啓発の看板を設置されても文句は言えません。

　幸い、施設の方には、不妊手術済みの猫であることと、知っている餌やりさんには美化に努めてもらうよう私たちから伝える旨を説明し、一定のご理解をいただくことができました。

　猫に片付けはできないのです！

　お腹をすかせた野良猫をかわいそうに思い餌をあげたいかたは、どうかその場所を汚なくしないでください。食べ残しはきちんと片付けて、糞もできるだけ拾って美化に努めてください。

　それと一番大切なこと、不妊手術をして繁殖させないでください。

　猫に罪はありません。地域猫が赤穂市で理解され、生きていくためには、私たち人間側の良識にかかっているのです。ぜひ、マナーのいい餌やりさんの方でお願い致します。（赤穂の野良猫を地域猫にする会）

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掲載紙面（PDF）：
2022年12月3日号(2486号) 3面 (10,427,489byte)
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