山鹿素行が築かせた石垣 赤穂城二之丸門
2023年02月18日
赤穂市教育委員会が赤穂城二之丸門周辺で行った発掘調査で、虎口の城壁に継ぎ足すように拡張された石垣が出土した。
二之丸門の虎口をめぐっては江戸時代の軍学者、山鹿素行が縄張を改めたことが知られ、市教委は「素行が築かせた拡張石垣の可能性が高い」としている。
発掘調査は二之丸北城壁整備の基礎資料とするために昨年度から2か年計画で行われ、二之丸門が位置したとみられる周辺や城壁が屈曲する地点など7区計285平方メートルを調べた。
その結果、二之丸門の北側で、埋没した石垣から西に張り出すように新たな石垣が組まれていたことが判明した。今回の調査区の虎口をはさんで向かい側にある枡形城壁で市教委が2002年度に行った発掘調査でも城壁を延長するように「L」字型に拡張した石垣が出土している。両方の石垣の拡張により、当初の縄張で最も狭い場所で約10メートルだった虎口の幅は5メートルほどに狭まったとみられる。
赤穂城は赤穂藩浅野家初代藩主の浅野長直が家臣の近藤正純(1604―62)に築城設計を命じ、慶安元年(1648)より13年以上にわたる歳月を費やして寛文元年(1661)に完成した。素行は承応元年(1652)に兵学師範として長直に召し抱えられ、翌年9月25日から約7か月間、赤穂に滞在。来穂から20日ほど経った承応2年10月15日の日記に「太守二郭の虎口を縄張す。僕を招きて談ず。太守自ら其の地に臨み、群臣列び共す。僕間縄を取り改め直す」と太守(長直)や家臣らが見ている前で虎口の設計を変更した旨の記述があるが、どのように改めたのかは明確ではなかった。
市教委文化財係の荒木幸治係長(46)は「今回の調査によって、素行が二之丸門への侵入口を狭めるために拡張部分の石垣を築かせた可能性が高いと言える」とした。
今回の調査では、二之丸門北側石垣の角部分(出隅)を示す「隅石」も出土した。市教委は「まだ、多くの推定を含むものの、二之丸門の位置と構造がかなり明らかになった。今後の復元整備に役立てたい」とし、一般向けの現地説明会を2月26日(日)午後1時半から開く。本丸門前集合、小雨決行。問い合わせはTEL43・6962。
掲載紙面(PDF):
2023年2月18日号(2496号) 1面 (13,257,809byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
山鹿素行によって拡張された石垣などが出土した赤穂城二之丸門周辺の発掘調査現場。棒で指している先にあるのが「隅石」
二之丸門の虎口をめぐっては江戸時代の軍学者、山鹿素行が縄張を改めたことが知られ、市教委は「素行が築かせた拡張石垣の可能性が高い」としている。
発掘調査は二之丸北城壁整備の基礎資料とするために昨年度から2か年計画で行われ、二之丸門が位置したとみられる周辺や城壁が屈曲する地点など7区計285平方メートルを調べた。
その結果、二之丸門の北側で、埋没した石垣から西に張り出すように新たな石垣が組まれていたことが判明した。今回の調査区の虎口をはさんで向かい側にある枡形城壁で市教委が2002年度に行った発掘調査でも城壁を延長するように「L」字型に拡張した石垣が出土している。両方の石垣の拡張により、当初の縄張で最も狭い場所で約10メートルだった虎口の幅は5メートルほどに狭まったとみられる。
赤穂城は赤穂藩浅野家初代藩主の浅野長直が家臣の近藤正純(1604―62)に築城設計を命じ、慶安元年(1648)より13年以上にわたる歳月を費やして寛文元年(1661)に完成した。素行は承応元年(1652)に兵学師範として長直に召し抱えられ、翌年9月25日から約7か月間、赤穂に滞在。来穂から20日ほど経った承応2年10月15日の日記に「太守二郭の虎口を縄張す。僕を招きて談ず。太守自ら其の地に臨み、群臣列び共す。僕間縄を取り改め直す」と太守(長直)や家臣らが見ている前で虎口の設計を変更した旨の記述があるが、どのように改めたのかは明確ではなかった。
市教委文化財係の荒木幸治係長(46)は「今回の調査によって、素行が二之丸門への侵入口を狭めるために拡張部分の石垣を築かせた可能性が高いと言える」とした。
今回の調査では、二之丸門北側石垣の角部分(出隅)を示す「隅石」も出土した。市教委は「まだ、多くの推定を含むものの、二之丸門の位置と構造がかなり明らかになった。今後の復元整備に役立てたい」とし、一般向けの現地説明会を2月26日(日)午後1時半から開く。本丸門前集合、小雨決行。問い合わせはTEL43・6962。
明治10年代に撮影された二之丸門の古写真=花岳寺蔵=。上段のイラストは市教委作成
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2023年2月18日号(2496号) 1面 (13,257,809byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
「忠臣蔵の本質死守した」紀里谷監督インタビュー [ 文化・歴史 ] 2015年11月16日赤穂吟詠会の創立55周年大会 広重が描いた忠臣蔵版画展 [ 文化・歴史 ] 2015年11月14日大山描く室井澄さんへ地元が感謝状 [ 文化・歴史 ] 2015年11月13日来年の干支にちなんだ申の木目込み [ 文化・歴史 ] 2015年11月12日1年後ステージ目指し合唱団発足 [ 文化・歴史 ] 2015年11月12日赤穂八幡宮獅子舞が会場魅了 [ 文化・歴史 ] 2015年11月11日尺八と琴の演奏発表会 「トリノコ」に使う神米収穫 四季の叙情歌 調和体書作展 [ 文化・歴史 ] 2015年11月04日文武両道の鑑、故木山正規さんを偲ぶ 昭和40年以前の風景や町並み 写真公募 日展の書部門で2人入選 [ 文化・歴史 ] 2015年10月30日27年度赤穂市文化・スポーツ賞 第54回市民文化祭 俳句・短歌入賞者 [ 文化・歴史 ] 2015年10月26日
コメントを書く