『千種川の生態』LCが刊行続けて50年
2023年04月01日
千種川水系流域のライオンズクラブ(LC)が合同で1974年から年1回編集発行する水生生物調査記録冊子『千種川の生態』の第50集が刊行された。「川は心のふるさと」をスローガンに代々の会員によって引き継がれた取り組みは半世紀になった。
千種川の水生生物調査は73年に佐用LCが生物学の権威、津田松苗・奈良女子大教授の監修の下、実施したのが最初だ。会員らが地元の小・中学生とともに川に入り、カワゲラやサワガニ、スジエビといった指標生物を採取。生き物によって生息する水質が異なる点を利用して水質を判定する活動で、翌年7月に『千種川の生態』のタイトルで調査結果を冊子にまとめた。
3年目から赤穂、相生など流域のクラブと合同で流域全体に調査地点を拡大。9月第1土曜日を基準日として調査を行い、翌春ごろ冊子を発行するサイクルが確立した(2009年度のみ水害の影響で翌年調査分と一括編集)。長年の取り組みが環境保全に功績があったとして2012年に環境省、19年に赤穂市から表彰を受けた。
調査が始まった頃は工場や家庭からの排水による河川の汚染が社会問題だった時代。その後、下水道や排水基準の整備が進んで水質が改善された一方、防災対策の河川改修などで環境が画一化したことにより生物多様性が損なわれた懸念がある。千種川の水生生物調査結果でも、きれいな水質を好む指標生物の生息地点が増加した反面、採取された生き物の数が減少している状況が読み取れる。
調査結果の取りまとめを担当する「千種川圏域清流づくり委員会」の横山正さん(61)は「上流部から河口部まで一斉に実施する環境調査がこれだけ長い間続いているのは全国でも例がない」とし、「千種川を取り巻く状況や課題は時代とともに移り変わってきたが、『ふるさとの川を守りたい』という変わらない思いがあったから、この活動が続いてきたのでは」と語る。佐用町の「ひょうご環境体験館」には第1集からすべての冊子が保管されており、赤穂LCの寒川真吾会長(61)は「長年調査を続けた貴重な資料。今後も調査と冊子の刊行を続けていきたい」と話す。
掲載紙面(PDF):
2023年4月1日号(2502号) 1面 (9,714,363byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
『千種川の生態』第50集の刊行に胸を張る赤穂LCの寒川真吾会長(中)。横山正さん(左)が持っているのは1974年に発行された創刊号
千種川の水生生物調査は73年に佐用LCが生物学の権威、津田松苗・奈良女子大教授の監修の下、実施したのが最初だ。会員らが地元の小・中学生とともに川に入り、カワゲラやサワガニ、スジエビといった指標生物を採取。生き物によって生息する水質が異なる点を利用して水質を判定する活動で、翌年7月に『千種川の生態』のタイトルで調査結果を冊子にまとめた。
3年目から赤穂、相生など流域のクラブと合同で流域全体に調査地点を拡大。9月第1土曜日を基準日として調査を行い、翌春ごろ冊子を発行するサイクルが確立した(2009年度のみ水害の影響で翌年調査分と一括編集)。長年の取り組みが環境保全に功績があったとして2012年に環境省、19年に赤穂市から表彰を受けた。
調査が始まった頃は工場や家庭からの排水による河川の汚染が社会問題だった時代。その後、下水道や排水基準の整備が進んで水質が改善された一方、防災対策の河川改修などで環境が画一化したことにより生物多様性が損なわれた懸念がある。千種川の水生生物調査結果でも、きれいな水質を好む指標生物の生息地点が増加した反面、採取された生き物の数が減少している状況が読み取れる。
調査結果の取りまとめを担当する「千種川圏域清流づくり委員会」の横山正さん(61)は「上流部から河口部まで一斉に実施する環境調査がこれだけ長い間続いているのは全国でも例がない」とし、「千種川を取り巻く状況や課題は時代とともに移り変わってきたが、『ふるさとの川を守りたい』という変わらない思いがあったから、この活動が続いてきたのでは」と語る。佐用町の「ひょうご環境体験館」には第1集からすべての冊子が保管されており、赤穂LCの寒川真吾会長(61)は「長年調査を続けた貴重な資料。今後も調査と冊子の刊行を続けていきたい」と話す。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2023年4月1日号(2502号) 1面 (9,714,363byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 社会 ]
市消防団の異動 [ 社会 ] 2012年03月29日月と木星、金星が一直線 [ 社会 ] 2012年03月28日放射線量の測定、赤穂市でも [ 社会 ] 2012年03月27日赤穂市異動 初の女性部長職 2012年4月 [ 社会 ] 2012年03月24日5割が指定避難所選ばず [ 社会 ] 2012年03月24日赤穂地区の体育館竣工 [ 社会 ] 2012年03月23日富山良一・赤穂高教諭など2人に職業奉仕賞 [ 社会 ] 2012年03月22日“12にまつわる不思議”を紹介 [ 社会 ] 2012年03月20日受験生に“春”、公立高校合格発表 [ 社会 ] 2012年03月19日60回目迎えた珠算の赤穂地方大会 [ 社会 ] 2012年03月18日社債詐欺、相談件数が急増 インフルエンザ臨時休業(3月14日決定分) [ 社会 ] 2012年03月14日赤穂高、第1志望は定員下回る [ 社会 ] 2012年03月12日震災から一年、赤穂でも黙とう PTAが新調校旗を寄贈 [ 社会 ] 2012年03月10日
コメントを書く