「ナラ枯れ」から生島守る「ホイホイ」設置
2023年05月20日
樹木の伝染病から国天然記念物の照葉樹林を守ろうと、「ナラ枯れ」の病原菌を媒介する甲虫「カシノナガキクイムシ」(通称・カシナガ)のモニタリング調査が坂越の生島で17日に始まった。
地元企業のアース製薬が開発した粘着シート「かしながホイホイ」をサンプル樹にセット。繁殖状況を経年観測し、被害防止や早期発見につなげる狙いだ。
生島は坂越湾に浮かぶ無人島で面積8・1ヘクタール。古来より大避神社の禁足地だったため原始に近い状態の樹林が保たれ、1924年に国天然記念物となった。樹木に巻き付いて枯死させるつる性植物を市民ボランティアたちの手で伐採するなど、保護の取り組みが続けられている。
ナラ枯れは、カシナガ(体長5ミリほど)がナラ菌を媒介して引き起こす。発症した樹木は水を吸う能力を失って急激に立ち枯れる。兵庫県内では2006年度までは但馬地域でしか発生していなかったが、5年前からは播磨地域にも拡大。赤穂市域にも広がりつつあるという。
昨年12月、服部保・兵庫県立大学名誉教授が生島で行った現地調査で、カシナガが開けたとみられる直径1・5〜2ミリほどの小さな穴がある樹木が見つかり、今年3月の再調査ではスダジイやアラカシなど調べた105本中29本で穴が確認された。一本当たりの穴の数は50個未満で、ナラ枯れの被害が発生する目安となる100個には至らなかったが、さらに繁殖が拡大すれば被害が生じる恐れがある。
この日は赤穂市教育委員会文化財課の職員と「ひょうご森づくりサポートセンター」の樹木医など調査団12人が渡島。アース製薬研究開発本部プロ製品応用研究部の上田松太郎課長(57)が粘着シートを取り付ける手本を見せ、3班に分かれて25本にセットした。また、島内で最も幹の太いスダジイにはカシナガを寄せ付けない防除ネットを設置した。
カシナガは例年6月ごろに穴から出てきて別の木に移動する習性があり、来月にも捕獲状況を確認。その後も穴の数の変化や樹木の状況などを毎年記録していく予定だ。
同神社の生浪島堯宮司は「今年は生島が天然記念物に指定されて100年目。関係各所の協力を得ながら保護していきたい」と話している。
掲載紙面(PDF):
2023年5月20日号(2507号) 1面 (5,077,063byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
「ナラ枯れ」被害防止のモニタリングのため粘着シートを樹木にセットする調査団
地元企業のアース製薬が開発した粘着シート「かしながホイホイ」をサンプル樹にセット。繁殖状況を経年観測し、被害防止や早期発見につなげる狙いだ。
生島は坂越湾に浮かぶ無人島で面積8・1ヘクタール。古来より大避神社の禁足地だったため原始に近い状態の樹林が保たれ、1924年に国天然記念物となった。樹木に巻き付いて枯死させるつる性植物を市民ボランティアたちの手で伐採するなど、保護の取り組みが続けられている。
ナラ枯れは、カシナガ(体長5ミリほど)がナラ菌を媒介して引き起こす。発症した樹木は水を吸う能力を失って急激に立ち枯れる。兵庫県内では2006年度までは但馬地域でしか発生していなかったが、5年前からは播磨地域にも拡大。赤穂市域にも広がりつつあるという。
昨年12月、服部保・兵庫県立大学名誉教授が生島で行った現地調査で、カシナガが開けたとみられる直径1・5〜2ミリほどの小さな穴がある樹木が見つかり、今年3月の再調査ではスダジイやアラカシなど調べた105本中29本で穴が確認された。一本当たりの穴の数は50個未満で、ナラ枯れの被害が発生する目安となる100個には至らなかったが、さらに繁殖が拡大すれば被害が生じる恐れがある。
この日は赤穂市教育委員会文化財課の職員と「ひょうご森づくりサポートセンター」の樹木医など調査団12人が渡島。アース製薬研究開発本部プロ製品応用研究部の上田松太郎課長(57)が粘着シートを取り付ける手本を見せ、3班に分かれて25本にセットした。また、島内で最も幹の太いスダジイにはカシナガを寄せ付けない防除ネットを設置した。
カシナガは例年6月ごろに穴から出てきて別の木に移動する習性があり、来月にも捕獲状況を確認。その後も穴の数の変化や樹木の状況などを毎年記録していく予定だ。
同神社の生浪島堯宮司は「今年は生島が天然記念物に指定されて100年目。関係各所の協力を得ながら保護していきたい」と話している。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2023年5月20日号(2507号) 1面 (5,077,063byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
夫婦念願のギャラリー開設 [ 文化・歴史 ] 2015年11月28日市児童合唱団が山鹿市とコーラス交流 [ 文化・歴史 ] 2015年11月24日美術協会 27日から小品展 [ 文化・歴史 ] 2015年11月24日吟道摂楠流赤穂吟詠会が55周年 [ 文化・歴史 ] 2015年11月22日幻の華道流儀「源氏流」特別展 [ 文化・歴史 ] 2015年11月21日葉蘭組み合わせて12カ月表現 [ 文化・歴史 ] 2015年11月21日古民具を別の用具にリメイク [ 文化・歴史 ] 2015年11月20日市吹奏楽団10回目定演へ練習佳境 「忠臣蔵の本質死守した」紀里谷監督インタビュー [ 文化・歴史 ] 2015年11月16日赤穂吟詠会の創立55周年大会 広重が描いた忠臣蔵版画展 [ 文化・歴史 ] 2015年11月14日大山描く室井澄さんへ地元が感謝状 [ 文化・歴史 ] 2015年11月13日来年の干支にちなんだ申の木目込み [ 文化・歴史 ] 2015年11月12日1年後ステージ目指し合唱団発足 [ 文化・歴史 ] 2015年11月12日赤穂八幡宮獅子舞が会場魅了 [ 文化・歴史 ] 2015年11月11日
コメント
good job!
7 0
投稿:grillo 2023年07月03日コメントを書く